この経験から、「財政支出の財源は、中央銀行が貨幣を発行して賄えばよい」というMMF(現代貨幣理論)の考えが正しいように思われた。
しかし、そうしたことは成立しない。これは、いまアメリカがインフレに襲われていることから明らかだ。
MMFは「インフレが起こらないかぎり」という限定条件付きでマネーによるファイナンスを正当化しようとしたのだが、まさにその限定条件が成り立たないことがわかったのである。
MMFのような無責任な考えではなく、正面から財源確保の問題に取り組まなければならない。
とくに成長が必要なのは、日本
以上で「成長」といったのは、景気の話ではない。景気刺激とは、供給能力を所与として(つまり、短期的な観点から)、需要を増やすことだ。
以上で述べたのは、そうではなく、長期的な供給面のことである。
十分な供給能力を持つことは、インフレを防ぐためにも重要な課題だ。
人口が高齢化した社会はインフレに陥りやすいという議論がある。労働力不足によって供給力が落ち込むからだ。
これを克服する方法は、技術革新と労働力率の向上しかありえない。
この数年間、われわれは、コロナとインフレという問題に振り回されて、長期的な課題を忘れている。
もちろんコロナもインフレも重要な問題だが、もっと重要なことがあるのだ。そして、この問題がとくに重要なのは、世界で最も深刻な高齢化問題に直面する日本においてなのである。
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