クラウンを大変身させた豊田社長の強烈な危機感 16代目開発の裏側と第1弾クロスオーバーの全貌

✎ 1〜 ✎ 22 ✎ 23 ✎ 24 ✎ 25
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ちなみに昨年12月に行われた「バッテリーEV戦略に関する説明会」で、筆者の質問に豊田社長は「電気モーターの効率はエンジンよりもはるかに高い。それを活かすと4駆(4WD)のプラットフォームを1つ作れば、制御如何でFF(前輪駆動)にもFR(後輪駆動)にもできる。そんな制御を持ってすれば、モリゾウでもどんなサーキット、どんなラリーコースでも安全に速く走れることができる」と語っているが、それをハイブリッドに置き換えれば、そういうことだ。

もちろん、先進安全・運転支援システムも抜かりなしで、最新の「トヨタセーフティセンス(バージョン3.0)」や高度運転支援技術「トヨタチームメイト」を装着。さらにトヨタ初採用となる純正ドライブレコーダー(運転支援用デバイスのカメラを活用)も注目だ。

価格は15代目よりも割安に設定

気になる車両本体価格は435万~640万円と、2018年の発表時で460万~700万円超とした高めの価格設定がやや敬遠された先代の反省を生かし、今回は割安な設定となっているが、これはトヨタのクルマづくり改革「TNGA」と「カンパニー制」そして、伝家の宝刀とも言える「原価改善」により実現できたそうだ。さらにサブスクリプションサービス「KINTO」にも対応しており、クルマに関わる諸経費込みで月々9万円弱から利用が可能だ。

ちなみにクロスオーバーをはじめとするすべてのクラウンは60年以上の歴史で初となるグローバルモデルとしての展開が行われ、約40の国と地域で年間20万台規模の販売を計画している。つまり「日本の高級車」が世界に羽ばたくのだ。かつてクラウンは海外展開を行うも失敗……という歴史があるが、そこに再び挑戦するのである。

奇しくもその流れは鎖国から開国に至った江戸時代末期から明治時代への流れとよく似ている。ただ1つ違うのは、江戸時代が徳川家15代目で終焉しているのに対して、クラウンは16代目へとバトンを受け渡したことだ。新しいコンセプト、そして新しい走りにユーザーは「文明開化の音」を感じることができるのか? 非常に楽しみである。

山本 シンヤ 自動車研究家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事