ホンダの「電動化」とトヨタ「水素エンジン」の行方 本当にFCVは救世主なのか? EVを超えるのか?

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写真左は本田技研工業・代表取締役社長の三部敏宏(みべ としひろ)氏、写真右はトヨタ自動車・代表取締役の豊田章男(とよだ あきお)氏(写真:ホンダ/トヨタ)

4月に就任したホンダの三部敏宏社長が、2040年に4輪事業において、世界での販売を電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)で100%にすると表明したことが波紋を呼んだ。というのも、ホンダは、2輪・4輪・汎用の各事業を通じて世界最大級のエンジンメーカーであるからだ。20年後にはもうエンジン車を売らないという驚きが多くの人の胸に湧き起こったはずだ。しかし私は、よく決断したと喝采を送る。研究所を含め、昨今のホンダ社員の表情は明るくなったと感じる。

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一方でトヨタは、2025年までにEVを15車種導入すると表明し、スバルと共同開発したSUVのEVでは、ソーラーシステムを採用して1充電走行距離を延ばす取り組みを行っていると、中国・上海のモーターショーで発表した。しかしトヨタは、2019年の記者会見で、電動化を前倒しで進めることを表明したものの、電動化とは、EVを指すのではなく、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を含めてのことであるとの意思を変えておらず、ホンダのようにEVやFCVに集約させるとの積極的な姿勢は見せていない。

まず、電動化という言葉の意味を明確にしておこう。電動とは、電気で動くことを指し、ハイブリッド車(HV)は含まない。電気は使っていても、電気で動いているのではなくエンジンの燃費向上策だからだ。たとえば、家庭電化製品といえば、ガスも併用するとは誰も思わないはずだ。

電動化を進めるホンダに対してトヨタの姿勢は?

カローラスポーツをベースにした水素エンジン搭載マシン。写真はテスト車両(写真:トヨタ)

トヨタの豊田章男社長は、5月に開催された24時間レースに水素エンジン車で自ら出場し、エンジンに関わる100万人の雇用を守ると発言している。また、日本自動車工業会の会長としても、急速な電動化への移行は約550万人におよぶ自動車関連業種の雇用を守ることを難しくするとも述べた。だが、豊田社長の発言やトヨタの姿勢は、次の点で将来の暮らしを守ることを約束するものではない。

現在、世界人口は79億人近いとされる。これは、1900年の16億人から比べると5倍近い数字だ。ガソリンエンジン自動車がドイツのカール・ベンツによって1886年に発明されてから135年経つが、その間に人間というひとつの種類の生き物が5倍も増えたのである。第2次世界大戦後は25億人ほどで、以来76年の間に3倍も増えたともいえる。

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