ホンダの「電動化」とトヨタ「水素エンジン」の行方 本当にFCVは救世主なのか? EVを超えるのか?

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人口の急増によって、人間のあらゆる活動が地球にさまざまな影響を及ぼし、温暖化による気候変動をもたらしている。戦後程度の人口であれば、いまなおエンジン車を人々が謳歌していても、それほど環境を悪化させることはなかったかもしれない。ただし、1960年代頃から大気汚染という公害問題はあった。しかしそれは、今日の排出ガス浄化技術で乗り越えられることだろう。

大気の温度は、気象庁によれば、1991年から2020年までの30年間と、2020年の、それぞれ平均気温で比べると、+0.34℃であるという。それだけの気温上昇でも、すでに5年ほど前から自然災害の甚大化が国内、また世界的にも顕著となっている。台風はもとより、線状降水帯による洪水や地滑りの被害が拡大し、多くの人がこれまでと違う気候へ切り替わったと実感しているのではないか。

気温上昇とともに注視すべき海水温度上昇の影響

重大なのは、大気の温度上昇に加え、海水温度が高くなっていることだ。気体に比べ液体の温度変化は緩慢だが、一度上がった温度はなかなか下がらない。たとえば、室内で空調を利用してすぐ効果が得られるのに比べ、風呂を沸かすには時間がかかるがなかなか冷めないことで想像できる。

海水温度が高くなったことにより台風が強大化し、日本近海でも発生し、勢力を保ったまま上陸しやすくなり、日本海へ抜けたあと北海道へ再上陸するなどが起きている。豪雪による道路の大渋滞も毎年のように起きている。海流の変化で漁獲にも影響が出て、サンマやアジが不良になったり、北海道でスルメイカが獲れなくなる代わりにブリが大漁になったりするなど、変化が生じている。

火力発電所のイメージ(Ryozo / PIXTA)

79億人もの人間が地下に眠っていた資源を地上で燃やすことによって悪化し続ける気候変動は、もはや止められず、改善し元へ戻ることさえままならない状況だ。それに際し、ただ燃費がよくなればいいという対応では現状維持さえ難しい。できることなら明日にでも脱炭素を実現することが、人口が増加するなか気候変動の悪影響を最小限に抑える手段なのである。

しかしながら、EVを普及させても、使う電気が火力では効果は小さいとの声がある。そしてエンジンも改良の余地があり、突き詰めれば火力発電による電気を使うEVと遜色ないともいう。

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