ホンダの「電動化」とトヨタ「水素エンジン」の行方 本当にFCVは救世主なのか? EVを超えるのか?

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だが、火力発電に80%近くを依存する日本でさえ、10年後の2030年には再生可能エネルギーと原子力による発電を45%ほどにする計画が3年前からあった。なおかつ今年になって経済産業省は、再生可能エネルギー比率を40%へ高めることにより、火力への依存を40%に下げるとしている。

国内では、火力と一括りで語られるが、欧米に多く残る石炭火力に比べ、日本が積極的に導入してきた天然ガス火力は、CO2排出量が石炭の半分ほどだ。もちろん、発電をすべて脱炭素にすることが理想だが、同じ火力でも石炭がいかにCO2排出量に強い影響を及ぼしているかを知るべきだ。

原子力発電については、嫌悪感や不信を覚える人が多いと思う。だが、現在の軽水炉に代わるトリウム熔融塩炉は、安全性を大幅に高める方式であり、熔融塩炉は中国やアメリカで開発が進められている。この件については、折があれば解説したい。

ホンダの代表取締役社長の三部敏宏氏が社長就任会見で語った4輪車電動化の展望(写真:ホンダ)

自動車産業の雇用と電動化は切り離して考えるべき

次に、電動化による雇用への影響についてである。EVの導入は、30年前の1990年からアメリカ・カリフォルニア州でZEV法案が検討され、実際の施行は当時のバッテリー技術が不十分であったことから先延ばしされたが、方向性は示されていた。

欧州でもCO2排出量規制の動きはあり、強化される方向にあることは明らかだった。なおかつ、中国ではNEV規制が行われることが2019年に明らかになった。中国で電気自動車の開発・製造を行っているBYDなどは、1990年代の国際電気自動車シンポジウム(EVS)などに積極的に参加し、EVやリチウムイオンバッテリーの研究に余念がなかった。日本の自動車メーカー関係者も、そうした姿をEVSの会場で見てきたはずだ。

つまりEVへの動きは30年近く前からすでにあり、気候変動の進捗も見聞きし、国内の異常気象で体感してきたにもかかわらず、HVやエンジンの高効率化で乗り切れると判断したのは経営判断の失敗だ。それを今になって、雇用が守れないというのは、責任逃れとしかいいようがない。

たとえば、ある自動車部品メーカーは、燃料系の企業だったが現在ではそれを含めたシステム会社へ10年ほど前から移行している。社会の動向を正確に見通し、経営者が決断した結果だ。

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