12代目の頭出しとなったハッチバックの「カローラ スポーツ」に初めて試乗したとき、筆者はある記事でこのように記した。
「ドイツの巨人とガチンコ勝負するために奇を狙わず“直球勝負”で挑んだ1台だ。カローラ=コンサバの代表から脱却したワイド&ローで踏んばりのあるプロポーション、シンプルながらも質の高いインテリア、剛の中に柔(=しなやかさ)があるボディー、トヨタ車最良と言ってもいいくらい直結感と滑らかさがあるステア系、程よく引き締まるもしなやかな足さばき、熱血系ではないが程よくスポーティーなハンドリング……と、すべてにおいて従来のカローラとは別次元の性能を備える。
ただ、『誰でもどこでも気負いなく乗れる』というカローラのDNAはシッカリと受け継がれているなど、トヨタの『もっといいクルマ作り』がわかり易い形で表現された1台である。
直近の歴代モデルを振り返ると「扱いやすい」「燃費がいい」というイメージばかりで、走りについて語るべき事はまったくなかった事を考えると、まさしく新型の登場は『カローラ50年目の革命』と言ってもいい」
豊田章男社長とカローラの浅からぬ縁
その後、セダン、ツーリング(ワゴン)、クロス(クロスオーバーSUV)とバリエーションを増やしていくが、カローラシリーズのフラッグシップを担うのが「GRカローラ」だ。GRの名を冠することからわかるように、トヨタのスポーツブランド「GR」(TOYOTA GAZOO Racing)のオリジナルスポーツカー第4弾でもある。
このクルマにとくに強い思いを持っているのはトヨタ自動車社長の豊田章男氏だ。実は豊田社長のターニングポイントには必ずカローラがいた。
最初は少年のとき。第3回日本グランプリ観戦時、宿泊先の箱根・ホテル花月園から富士スピードウェイまで初代カローラ主査・長谷川龍雄氏が運転するカローラの助手席でのドライブこそが、カローラの原体験だったそうだ。10歳の章男少年は颯爽と操る長谷川氏を見て「かっこいいおっさんだなぁ」と幼いながらに感じたという。
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