トヨタ、3人に絞られた?「ポスト章男」選考の行方 4月人事と5月決算会見で見えた明らかな変化
決算発表での異変
「いよいよ、その時に向けて動き出したな……」と思った。
トヨタ自動車が5月11日にオンラインで行った2022年3月期連結業績説明会は、いつもと様子が違っていたからだ。
会見に出席したのは、副社長の近健太、同・前田昌彦、執行役員の長田准、経理本部本部長の山本正裕の4氏だ。社長の豊田章男氏の姿はなかった。
決算内容は、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻、半導体不足による減産、原材料価格の高騰などの逆風にもかかわらず、営業利益が2兆9956億円で過去最高だった。近氏は、こういった。
「13年にわたる原価低減活動による損益分岐点の引き下げ、そして、これまでの収益構造改善の積み重ねの結果です」
実は、もう一点、いつもと違う光景に気がついた。それは、記者からの質問に対する受け答えだ。これまでであれば、登壇者は「豊田社長のお考えでは……」という枕詞のあとに説明を続けたものだが、今回は、豊田章男氏の「あ」の字も出なかったのである。
わずかに一度、「これまで“問題の発見”について、豊田社長が1人でしてきましたが、これからは3人の副社長で行っていきます」と近氏が述べたにとどまる。
これは何を意味するのか。“ポスト章男”に向けた動きがいよいよ本格化してきた……と見ていい。
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