トヨタ、3人に絞られた?「ポスト章男」選考の行方 4月人事と5月決算会見で見えた明らかな変化

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章男氏は、いわば肩書をなくしてフラット化した執行役員の中で、次世代幹部を養成し、自らの後継を見極めていこうと考えていたに違いない。

“社長の心得”や“社長の作法”にいたるまで、手をとり、足をとるようにして、厳しく鍛えてきたといわれる。それは、記者会見での喋り方、振る舞いにまで及ぶという。

つまり、経営者目線で会社全体を見て動く具体的トレーニングをし、トップの役割、責任、決断のあり方を教えているのだ。

早ければ3年後に迫る社長交代、そのときトヨタは?

常識的にいえば、決算会見に出席した2人の副社長が“ポスト章男”と思われる。とりあえず、この厳しい経営環境の中で、どこまで対応できるのか、実力が試されるわけだ。

11日の会見の質疑応答は、まるで“ポスト章男”の前哨戦のようだった。

長田氏が采配をふり、副社長らにテンポよく回答を促した。章男氏の「あ」の字も出なかったのは、事前の打ち合わせがあってのことなのか、はたまたトヨタの次代を背負う若手の「覚悟」のあらわれなのか……。

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会見では、「ポスト章男」を担っていく、強い“意志”が感じられた。

社長交代は、早くて3年後だろう。3年後であれば、章男氏は69歳になる。

社長交代後、章男氏は会長に就くのは間違いない。どんな会長になるのか。

「見事な会長になってもらわなくてはならない」と、番頭・小林氏は語っている。

そして、バトンタッチのとき、トヨタはどんな会社になっているのか。「自動車産業の100年に1度の大変革期」において、章男氏がかねて主張している「自動車メーカーからモビリティカンパニーへの転換」は完遂しているのか。

いましばらく、章男氏は、まだまだやらなければならないことが多い。

片山 修 経済ジャーナリスト

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かたやま おさむ / Osamu Katayama

愛知県名古屋市生まれ。経済、経営など幅広いテーマを手掛けるジャーナリスト。鋭い着眼点と柔軟な発想が持ち味。長年の取材経験に裏打ちされた企業論、組織論、人材論には定評がある。

『豊田章男』『技術屋の王国――ホンダの不思議力』『山崎正和の遺言』(すべて東洋経済新報社)、『時代は踊った――オンリー・イエスタディ ’80s』(文藝春秋)、『ソニーの法則』『トヨタの方式』(ともに小学館文庫)、『本田宗一郎と「昭和の男」たち』(文春新書)、『なぜザ・プレミアム・モルツはこんなに売れるのか?』(小学館)、『パナソニック、「イノベーション量産」企業に進化する!』(PHP研究所)など、著書は60冊を超える。

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