日本人は「口呼吸」がなぜマズいかをわかってない ストレスを招き、不安を増長させてしまう理由

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細胞呼吸の酸欠は、血中の酸素が足りないから起こるのではなく、血中の二酸化炭素が少ないのが原因なのです。呼吸によって肺に取り込まれた酸素は、血液に溶け込み、血中にて赤血球のヘモグロビンに結合して毛細血管を経由し、全身の細胞に届けられます。酸素を抱えたヘモグロビンは細胞に到達すると、酸素を切り離して細胞内のミトコンドリアへ酸素を引き渡します。この切り離しの際に、一定量の二酸化炭素が必要になるのです。

そのため血中の二酸化炭素が少ないと、ヘモグロビンは酸素を引き渡せず、酸素を抱えたまま再び血管内をぐるぐると漂うことに。そして酸素をもらえないミトコンドリアは、「酸欠」を起こしてしまうのです。 

不安やストレス過多の人は総じて呼吸が浅い

呼吸数が多くて、血液中の二酸化炭素が少なくなるメカニズムはこうです。大気中の二酸化炭素濃度は約0.04%ですが、呼気中では約5%で吐き出されます。つまり、1回呼吸をすると、吸気の125倍の二酸化炭素が吐き出されてしまうのです。

ということは、呼吸回数が増えるごとに吐き出す二酸化炭素は増え、血液中の二酸化炭素濃度はどんどん減少。こうなると細胞呼吸で使われない酸素がダブつきます。しかもミトコンドリアに受け渡せず余ってしまった酸素の一部は、血液中を再び漂う間に「活性酸素」へと変化し、細胞を傷つける側へと回ってしまいます。負の連鎖のスタートです。 

呼吸をするごとに血液中の二酸化炭素が出ていくのであれば、血中二酸化炭素を増やすには、呼吸の数を減らすしかありません。しかし私たちの呼吸数は、意識的に行う「深呼吸」や「呼吸法」を行うとき以外、自律神経が無意識にコントロールしています。 

無意識下での呼吸が速くなる筆頭は、ストレスを抱えたときです。ストレスを受けると、それが精神的なストレスであれ、肉体的なストレスであれ、自律神経の交感神経が高まり、末梢の毛細血管は収縮。筋肉もこわばります。呼吸を司る呼吸筋も当然収縮し、呼吸はどんどん浅く、速くなっていきます。 

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