フランス企業で「上下関係が露骨になった」事情 コロナ禍で働き方がフレキシブルになった一方

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エマニュエル : 海外での会議でも同じことがいえる。コロナ以前は例えば、5カ国それぞれの企業の代表者が集まる場合、少なくとも各国3人の代表者が来ていたのが、現在では各国1人だけで、残りはオンラインで参加というのが主だ。

もちろん感染対策という側面もあるが、出張費用の削減という側面もある。また、海外出張も社内会議同様、役職が上の人が出張に行くことができ、それ以外はオンライン参加となるという上下関係がはっきりと形に出る。

くみ : 日本からフランスに来る出張者もどんどん増えているけれど、滞在日数や頻度はまだまだコロナ前には及ばない。その代わり、必要に応じてコロナ中にすっかり慣れたオンラインでのミーティングを続けたり。

それに今はウクライナ問題などの関連で航空費も高騰しているし、そうした複数の理由が重なり合って出張にブレーキがかかっている。これまでに比べて出張へのハードルは確実に上がったままね。

「窓の開け閉め戦争」がより加熱

エマニュエル : そういえば、コロナ以降職場でよく見られるようになった現象で、「窓の開け閉め戦争」がある。たいていの企業には冷暖房が設置されていて、コロナ以前は、冷暖房が利くようにと、選択の余地なく窓は閉めっぱなしだった。

半数ぐらいのフランス人は、冷暖房があまり好きではなく、窓を開けて自然の空気を取り込むほうが好まれているんだけれど、コロナ以前は、それでも窓を開けることなく冷暖房を我慢している人が多かった。

それがコロナのおかげで、感染対策として換気が推奨されるようになってからは、気兼ねなく窓を開けることができるようになったわけだ。ただ、問題なのは、オープンスペースのオフィスで冷暖房派と窓開け派にちょうど半分に分かれてしまった場合なんかは、会議などで冷暖房派がオフィスを抜けた瞬間に即座に窓を開けて、反対に窓派が抜けたとたんに窓を閉めるというのが繰り返されることとなる。

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