以前はパリの中心部にアパルトマンを借りてオフィス勤めをしていた人がコロナ中に仕事を辞めたり100%テレワークに移行したりで田舎に引っ越してしまったケースもある。ただ、結局パリでの仕事が増えて、またパリに戻るべきかどうか迷っている知人もいる。
エマニュエル :出勤・退社時間もコロナ以前に比べてはるかにフレキシブルになった。以前はだいたいの企業は8時から9時に出勤し、18時から21時に退社するというのが多かったと思うが、現在は公共交通機関での混雑を避けるために、10時から10時半出勤や16時半17時退社を許可している企業もある。フレキシブルな働き方によって、コロナ時代同様、家族との時間をより多く持てるようになった。
くみ : これまでも日本と比べたらフレキシブルで、子どもの送り迎えなどを理由に両親どちらかが早めにオフィスを出たりすることが当然だったよね。さらにフレキシブルになったというのは、より個々人のやり方や、生活に合わせた仕事の仕方ができるということ。
パリもメトロやバスなどの公共交通機関、そして車道も朝晩のラッシュ時は相当混むから、それが緩和されるのも感染病の伝播の阻止という意味でも意義があるよね。こんなふうに社会がより暮らしやすい方向へ変わっているのならポジティブな意義も見出せるね。
会議であらわになる上下関係
エマニュエル : テレワークと出勤が入り交じった状況なので、当然会議の仕方も変わってくる。ウェブ会議ツールを使ってハイブリッドな形での会議になっている。なかには、出勤しているにもかかわらず、会議室ではなく会社のどこか別の場所でオンラインで会議に参加しているということもある。
会議室に全員が入れない場合は、役職が最も高い上司が会議室に入り、会議の一部にだけ参加するとか役職が下のほうの社員が別の場所でオンラインで参加しなければならないなど、会議するにあたって社内での上下関係が露骨に見えてしまうのも、コロナ禍以前とは違うところといえる。
くみ : 街中を見ると、カフェやレストラン、お店も、ほぼコロナ前と変わらないほど混雑している。そんな中でオフィスでだけ距離を保とうとするのは不思議な感じよね。でも、特に高齢者を中心に今でも屋外でマスクを着用している人は一定数いるし、コロナがなくなったわけではないから個人的に予防しておきたい人がいるのも当然かな。