社労士試験では年金の繰り上げ・下げに注意 あなたにも出来る!社労士合格体験記(第83回)

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したがって、その頃の学生期間は年金額の計算には含まれません。ただし、受給資格期間(現在25年)には、合算対象期間として計算に含まれます。

試験で注意したいのは、専業主婦(第3号被保険者)が強制被保険者になった昭和61年(1986年)と混同させる問題です。昭和61年は国民年金法、厚生年金保険法、共済組合法が改正施行(公布は昭和60年)され、基礎年金制度が始まった重要な年です。

しかし、学生が強制被保険者になるのは5年後になります。西暦で考えれば楽なのですが、社労士試験の問題は日本の元号で出題されます。平成何年かで迷ったら、西暦に直してチェックすることをお勧めします。

昭和61年3月31日までは専業主婦も強制被保険者ではありませんでした。現在の第3号被保険者という概念もありませんでした。したがって私と同世代で就職後、結婚と同時に会社を辞めた女性は、会社に勤務している期間は厚生年金の被保険者となりますが、辞めた後昭和61年3月31日までは、当時の国民年金に任意加入していないかぎり、年金未加入期間となってしまいます。

試験で頻出の振替加算

この専業主婦の未加入期間を救済する趣旨で登場したのが振替加算です。振替加算はもともと夫の厚生年金で支給されていた加給年金を、自分の老齢基礎年金が支給される65歳に達した月の翌月から、自分の年金に振り替えて加算が行われる制度です。

対象となる専業主婦は大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた人で、昭和41年4月2日以降に生まれた人には関係ありません。また、支給額は昭和3年4月1日生まれの者までは22万4700円×改定率×1と満額が支給されるのに対し、昭和36年4月2日から昭和41年4月1日生まれの人は22万4700円×改定率×0.067と微々たる支給になってしまいます。これは、そもそも第3号被保険者期間が少ない人のための救済制度だからです。

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