田中聖さん再逮捕に見る薬物に刑罰が間違いな訳 再使用は治療失敗ではなく、治療を深める好機

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薬物を求める力に、意志や理性だけでは太刀打ちできない(写真:まちゃー/PIXTA)

人気アイドルグループのメンバーであった田中聖さんが、覚醒剤取締法違反の容疑で再逮捕された。前回の逮捕の後、執行猶予の判決を受けてからわずか9日後の再逮捕に、大きな衝撃を受けた人も多いだろう。

なぜ薬物使用は繰り返されるのだろうか。答えは簡単である。それは薬物には依存性があるからだ。

それでは依存性とは何だろうか。依存性のある薬物を使用すると、ドパミンという神経伝達物質が多量に分泌される。このとき、人間は快感や多幸感を抱く。

薬物依存症者の脳内で起こっていること

ドパミンが分泌されるのは、何も薬物を使ったときだけではない。日常生活の中でも、われわれが食事をしたり、セックスをしたり、あるいは楽しい出来事があったりしたときには、必ずドパミンが分泌されている。逆に言うと、ドパミンが分泌されているから、快感を抱くのである。

しかし、依存性のある薬物を使用したときは、通常の何十倍、何百倍という量のドパミンが分泌されている。そのため、尋常ならざる快感を抱くということになる。とはいえ、それは長くは続かない。そのうちに脳の中のドパミンが枯渇し、今度は疲労感、倦怠感、抑うつ、焦燥感などを抱くようになる。これがいわゆる禁断症状(離脱症状)である。

薬物使用者は、こうしたことを毎日のように繰り返しており、その中でドパミンに関連する神経回路、これを報酬系、またの名を快感回路などと呼ぶが、その神経回路が非常に過敏な状態になってしまう。これが依存症者の脳で起こっている障害である。

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