田中聖さん再逮捕に見る薬物に刑罰が間違いな訳 再使用は治療失敗ではなく、治療を深める好機

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しかし、特に治療の初期には、まだライフスタイルが十分に改まっていなかったり、スキルの獲得が不十分であったりするために、そして何よりも脳がまだ非常に過敏であるために、再使用が起こりやすい。

薬物依存症は、慢性の病気だと言われるが、専門家は一歩進んで「再発を繰り返しながら、良くなっていく病気」と考えている。再度繰り返すが、再発は治療初期には現実的によく起こる。しかし、治療が進み、脳が回復するにつれて、起こりにくくなることは間違いない。

薬物依存症治療における提言

これらのことを踏まえて、薬物依存症の治療に携わる一人として、ここで1つ提案しておきたいことがある。それは、「本人が治療につながっている間は、たとえ失敗(再使用)をしたとしても、治療を優先し、逮捕や拘禁によって治療を中断することはしない」という新しいルールを作れないかということである。

こうした考えに反発が多いのは百も承知である。しかし、せっかく治療を始めた人が、治療をやめてしまうことが、最も弊害が大きいことは間違いない。そもそも薬物依存症においては、治療を始めるまでが非常に大変なのである。

薬物使用者は、薬物が好きで使っているわけだから、それをやめるための治療を受ける決断をするのは、人生の一大事と言っても過言ではない。タバコやお酒が好きな人が、やめるための決断をすることの難しさを考えると、それは容易に想像がつくだろう。

そしてもう1つ、われわれは、再使用を治療の失敗ではなく、治療を深めるチャンスとしてとらえている。そのような大きなチャンスであるのに、まさにそのときに治療を中断するということはとても残念なことなのである。

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