「スーパーカー」電動時代に問われるその存在価値 うるさくないスーパーカーに魅力はあるのか

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そうした中で、スーパーカーの熱心な愛好家らは、しばしば納車に1年もかかるフェラーリやランボルギーニに繰り返し何十万ドルという大金を費やしている。限定モデルは、数百万ドルという値札が付けられるのが一般的だ。

そして、フェラーリとランボルギーニの利益率は極めて高い。上場企業でありながら、イタリアの名門財閥アニェッリ家が支配権を握るフェラーリは、2022年第1四半期(1〜3月期)に12億ドルの売上高に対し2億4000万ユーロ(2億5000万ドル)の純利益をたたき出した。

ランボルギーニも同第1四半期に5億9200万ユーロの売上高からもたらされた1億8000万ユーロの税引き前利益で、フォルクスワーゲンの最終利益に貢献した。フェラーリ、ランボルギーニの昨年の販売台数はそれぞれ1万1000台と8300台だが、両社の2桁の利益率は、利幅が薄いことで有名な自動車産業の中では並外れて高い。

電動化で危ぶまれる「官能性能」

バッテリー駆動への移行によって、フェラーリやランボルギーニはいくつもの課題に直面することになる。例えば、極めて低い全高はスーパーカーの特徴の1つで、こうした車のルーフは、横に立った人間の腰の位置を少し上回るかどうかというほど低い。

空力性能の向上がその狙いだが、電気自動車のバッテリーはシート部分の下に設置されることが多いため、スーパーカー特有の低く構えたシルエットを実現するのは困難だ。

スーパーカーのもう1つの特徴は、限られた者しか手にすることのできない特別な車であるということだ。しかし、加速でテスラに負けたままで、フェラーリはこうした特別感を維持できるのだろうか。

ヴィーニャは、時速0-60マイルの加速で百分の数秒の差が付いたからといって、それで車としての勝負が決まるわけではないと語る。ヴィーニャに言わせれば、フェラーリを運転するのはジェットコースターに乗るようなものだ。数字上の速度よりも、乗り手に伝わるフィーリングが物を言う。

「フェラーリとは体験なのだ」と、ヴィーニャは言った。

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