「スーパーカー」電動時代に問われるその存在価値 うるさくないスーパーカーに魅力はあるのか

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(写真:Federico Borella/The New York Times)

ランボルギーニが近づいてくると、イタリアの村の学校から飛び出してきた男の子たちが一瞬にして静まり返った。12気筒エンジンのサウンドが放つ圧倒的オーラ。くさび形のシェイプをしたこの猛獣のごとき車がうなりを上げて校庭の横を通り過ぎると、男の子たちは歓声をあげて拳を何度も振り上げながら跳びはねていた。

イタリアのスポーツカーメーカーの車には、まさにこのような感情を理屈抜きに引き出す力がある。だからこそ人々は、数十万ドル、場合によっては数百万ドルを払ってでも、その車を手に入れたいという気持ちにかられるのだ。

ところが、ランボルギーニ、フェラーリといった、いわゆるスーパーカーのメーカーはいま存亡の危機に立たされている。スーパーカーとは、大まかに言うとレーシングカーレベルの性能を有する数十万ドル以上の車を指す言葉だが、自動車業界の電動化の流れは止められず、スーパーカーのメーカーといえども、この流れには逆らえない。スーパーカーメーカーはいま、これまでと同じ情熱をかき立て、これまでと同じ価格に見合う電動スポーツカーをつくり出そうと格闘している。

時速0-100km加速でテスラに破れる

最もとがった車を設計していると自任するフェラーリやランボルギーニだが、すでにテスラから挑戦状を突き付けられている。テスラは電気自動車の先駆者だ。自動車専門誌『モータートレンド』の試乗ドライバーによると、テスラ「モデルSプレイド」は停止状態からわずか2秒あまりで時速60マイル(約100km)に達する。これは、フェラーリとランボルギーニのどの車種よりも優れた加速性能だ。

「スーパーカーのメーカーにとっての課題は、電気自動車の世界でも最先端を行く『スーパー』な存在でいられるのか、ということだ」と、ドイツの自動車メーカー、オペルの元最高経営責任者(CEO)カール・トーマス・ノイマンは言う。ノイマンは現在、ワンDバッテリーサイエンシズというカリフォルニア拠点の電気自動車技術サプライヤーの取締役を務めている。

「単にスーパーカーをつくって、そこにフェラーリのエンブレムを付けるだけでは足りない」。そう語るノイマンによると、フェラーリは電気自動車の競争で「かなり遅れをとっている」。

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