「お金を使わない私」が「お金を稼ぐ」ことの意味 「買わない生活」最終回、仕事と報酬を考える

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ああこれは一体どうしたことか。だって私、別にお金に困っているわけではない。しかも働いて人の役に立ちたいと思っているのである。ならばタダで人の役に立てたことそのものをなぜ素直に喜べないのか? 言ってることとやってることが違うんじゃないのか?

確かにそうなのかも。でも正直言うと、このような「仕事」をすると、私は一方的に何かを奪われているような気がしてしまう。もっとあからさまにいえば、相手だけが得をして、自分は一方的に時間と労力を取られている……そう「買い叩かれている」気がするのである。

何しろ今の私にとっては「時間と労力」は最高の財産なのだ。それを得るために自分なりに勇気を奮って会社を辞めたのである。その大切なものを差し出したのだから、相手もその人にとっての大切なものを差し出すのがフェアな関係というものではないだろうか。そうなのだ。これはフェアじゃない。そう思っているのである。

お金の幸せな使い方とは?

私は「買わない生活」を通して、お金とは何かということをずっと考えてきた。お金とはある種の魔物である。というか、お金を使う我らの心の中に魔物が潜んでいるのだろう。お金とは使い方によって、人を幸せにもすれば不幸にもするのである。買わない生活を極めるということは、お金の幸せな使い方を極めるということでもあった。

その結果たどり着いたのは、お金とは自分だけが得するように使ってはいけないということだ。「買わない生活」とは、1円でも安くと、自分だけが得する節約生活では決してない。だってそんなことをしたら結局相手は痩せ細り、いずれ消滅してしまう。

そんなふうにみんなを不幸にして自分だけ幸せになるなんてことはありえないだろう。そんな負のスパイラルに陥ってはならないのだ。「買わない生活」とは、自分が幸せに生きるのに必要なお金はほんのちょっとしかないと気づくことで「余ったお金」を生み出し、それを大切な人を応援するためにしっかり使う生活なのである。

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