「お金を使わない私」が「お金を稼ぐ」ことの意味 「買わない生活」最終回、仕事と報酬を考える

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もう1つは、「お金をもらう仕事」だけじゃなく「お金をもらわない仕事」を大事にすること。これもなんだかこれまで書いてきたことと矛盾するように思われるかもしれないが、一応自分の中では線引きをしておりまして、人から依頼される仕事は基本タダでは引き受けないが、自ら進んで、興味深くて楽しそうな仕事を手伝わせてもらったり体験させてもらったりするときは、喜んでタダ働きをさせていただく。

例えば、友人の飲食店で賄いを作らせてもらったり、田植えの手伝いに行ったり、イベントスタッフとして客の呼び込みをしたり……どれもこれもトーシローの身なので、無料で仕事を教えていただいたり実体験させていただいたりすることそのものがありがたいし、勉強になるし、感謝もされるし、仲間ができて楽しいしで、タダと言ってもむしろこっちが一方的に得をしている感じしかしない。

そしてもちろん、これはまさしく「働かせていただく」ことそのものが報酬なので、働く=お金じゃないよねってことを確認できる貴重な機会でもあるのだ。

ってことでこの「働く生活」についてはまだまだ考えるべきこと、修行すべきことがたくさんあるように思っているわけですが、ここが掛け値なく今の私の現在地であります。

何が起きるかわからない時代を自分らしく生きるために

ということで、長らく連載を続けてきました「買わない生活」。ひとまず今回で終了となります。会社を辞めて不安定な生活に陥ってからの自分がなぜこんなにも幸せに生きているのかを振り返る貴重な機会をいただいたことを心から感謝しています。

改めてこうして整理して書いてみて、正直「私って最強だな!」と思いました(笑)。もちろん、何が最強かは主観によるのであり、その心境に至ったことそのものがホント最強だと思うのです。そう人生は考え方が10割! 何が起きるかわからない時代のど真ん中を、明るく自分らしくルンルンと生きるために、これまで書き連ねてきたあれこれの何か1つでも「心のお守り」にしていただければ、これ以上の幸せはありません。

ご愛読いただきましてありがとうございました。

稲垣 えみ子 フリーランサー

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いながき えみこ / Emiko Inagaki

1965年生まれ。一橋大を卒業後、朝日新聞社に入社し、大阪社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめる。東日本大震災を機に始めた超節電生活などを綴ったアフロヘアーの写真入りコラムが注目を集め、「報道ステーション」「情熱大陸」などのテレビ番組に出演するが、2016年に50歳で退社。以後は築50年のワンルームマンションで、夫なし・冷蔵庫なし・定職なしの「楽しく閉じていく人生」を追求中。著書に『魂の退社』『人生はどこでもドア』(以上、東洋経済新報社)「もうレシピ本はいらない」(マガジンハウス)など。

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