「人口減」をむしろ味方につける経済大改革の方策 もはや昭和ではない、「同棲婚」「婚外子」も鍵に
「昔は戦争のために国は『産めよ殖やせよ』と言った。今は経済成長や高齢者の社会保障を支えるために同じことを言っている感じがして気持ちが悪い」(20代女性)
少子化対策は難しい。先進的な子育て支援で先行した欧州だが、一部では再び合計特殊出生率が低下する傾向が見られる。子どもを持つことは究極の個人の選択だ。そこに国家はどこまで関与できるのか、あるいはすべきなのか。
確実にいえるのは、少子化と人口減少は、私たちの社会の制度や慣習が抱える問題の映し鏡ではないかということだ。人が生きにくい社会なら人は増えない。であれば、そうした制度や慣習を現代の生活に合った形に変えていくことを優先政策とすればよいのではないか。
それは決して、人口対策ありきの「産めよ殖やせよ」ではない。人が生きやすい社会に近づけば、自然と人は増えるだろう。
「転勤」「長時間労働」で子育てはできない
日本社会には出生率を抑制している古い社会構造がたくさん残っている。
「メンバーシップ型」と呼ばれる日本独特の雇用慣行では、社員の職務が限定されず、転勤や長時間労働を強いられる。若い世代では共働きが当たり前となった今、これでは子育てができない。夫婦共に正社員でバリバリ働く「パワーカップル」ならなおさらだ。
一方、日本の企業社会ではメンバーシップから漏れた労働者は、低賃金の非正規雇用者となるのが一般的だ。これは低所得カップルが経済的な理由から子どもを持ちにくいといった問題を生んでいる。
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