「人口減」をむしろ味方につける経済大改革の方策 もはや昭和ではない、「同棲婚」「婚外子」も鍵に

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第2次安倍晋三政権以降、「女性の活躍」や「働き方改革」が叫ばれ、日本型雇用慣行にメスを入れる取り組みは進んだ。

だが、経済成長のため男性並みの長時間労働を女性にさせるのが「女性の活躍」というのなら本末転倒だろう。むしろ生産性を多少落としてでも男女が平等に子育てしながら働く文化が必要だ。また、育児休暇などがキャリア上のマイナスになる評価制度であってはならない。企業収益だけに目線が行きがちな経営陣に対し、労働組合のチェック機能は欠かせない。

古い制度や慣習は企業社会だけではない。高齢世代の持つ規範や価値観が現代の若者に合っていない部分も大きい。今年6月に発表された「2022年版男女共同参画白書」が強調したのは「もはや昭和ではない」だった。

古い世代にとって、子どもを持つことは社会のためであり、子どもがいて一人前という感覚がある。対して若い世代では、もっと自由に、家族や子どもを持つこと自体の満足を重視する。「夫婦別姓に反対」といった保守派政治家の主張は若い世代に届きにくいだろう。

(イラスト:髙柳浩太郎)

一方、若い世代でも、共働きなのに子育てに関わらない男性がいまだ多かったり、男性並みの所得がある女性ですら昔のように男性に自分以上の所得を求める傾向があったりする。社会全体が古い規範から新しい規範への過渡期にあるということだろう。

20~30代の2割が同棲婚にポジティブ

そうした中で、今後の出生率に大きく関係しそうなのが、同棲婚(事実婚)に対する若者の意識の変化だ。下図のように若い世代ほど法律婚にこだわらず、同棲婚を肯定する割合が高い。

北欧など欧州で出生率が改善した大きな要因は、まさに同棲婚の婚外子が増えたことだった。生まれてくる子どもの半数以上が婚外子という国も少なくない。欧米では、同棲婚はごく一般的なカップルの形態であり、それを経て法律婚に至るケースも多い。

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