――コロナ禍の医師会の対応はどう思われますか。
横倉:まず、(ヨコクラ病院のある)福岡県はけっこうがんばりましたね。人口500万人以上の都道府県では、最も医療にかかれずに亡くなった人が少なかった。これは行政と福岡県の医師会の連携が非常によかったからだと思います。特に第3波では医療崩壊を起こしかねない状況でしたが、陽性者のトリアージ(分離)と、中重症患者を専門医が手厚く診て、軽症者は200人に1、2人の専門外の医師が診るというすみ分けを徹底したことで、医療を守ることができました。
一方で、東京都や大阪府などの大都市では対応が遅れがちだった。なぜだかわかりますか?
――わからないです。
横倉:東京都の保健所は、区によっては都の医師会に業務を委託しなかったようです。なぜそうしなかったのは、これは保健所を管轄する行政と医師会が日ごろのから信頼関係が少なかったのではないかと思っています。第4波が来て手に負えなくなった段階で、ようやく医師会と連携が進みましたけれどね。
開業医は診察しなかったのではなく、できなかった
――あのときはかかりつけ医である開業医がやり玉に挙がりました。「熱があっても診てくれない」とか。
横倉:確かに、「かかりつけ医は何もしなかった」って一部のマスコミに批判されましたね。ただ、今回のパンデミックは行政医療(感染症や災害時など、行政の積極的な関与が必要な医療)だったから、開業医は診察しなかったのではなく、できなかったのです。
感染が始まった2020年5月まではマスクや手袋などの個人感染防護具がありませんでしたし、感染したら2週間の診療停止。そうなれば、ほかの患者さんの診察ができない状況になります。
それでも早い段階から動いた自治体はあり、たとえば福岡では、地域ごとに発熱外来を受けられる医療機関をいくつか指定して、市民に公表して混乱を起こさないようにしていました。
――最後に、新体制となった医師会に期待するところを教えてください。
横倉:医師会って医療や介護を代表する組織なのです。医療関係にも介護関係にもいろんな団体があるから、それぞれとの連携をうまく取っていってほしい。そうしなければ国民からの信頼は得られない。自分は「お山の大将」だと思っていたら、実は「裸の王様」だったってことになりかねないです。
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