――医師会が働きかけたことで変わった制度はあるのでしょうか。
横倉:2000年に始まった介護保険がそうです。介護を家族介護から社会介護に切り替えるべきだと、国に提言しました。もちろん会員のなかには「介護は俺たちの仕事じゃない、医療だけをすべきだ」という意見もありましたけど、私自身がちょうど福岡県医師会で介護関係の仕事を担当していたので、地域の医師と「なぜ今介護が必要か」というところから話して、制度化へとつながっていきました。
――医師会は議員とのつながりもけっこうありますよね。
横倉:地域で長年医師をやっていると、そこの名士になって、地方議員の皆さんから「後援会長をお願いします」って言われたりします。だから、政治家と関わりと持つ会員も多いです。
かかりつけ医は重要だが、制度化はまだ早い
――政治との関連で言えば、今の岸田文雄首相が衆議院予算委員会で、かかりつけ医機能の制度整備について触れました。「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2022)」にも記されています。これに対して、医師会は「患者にふさわしいかかりつけ医は数値化できない」などとして、反対しているようにはたからは見えます。
横倉:私はかかりつけ医機能や、その機能が発揮されるための制度整備は重要だと考えています。かかりつけ医は何か病気をされたときに真っ先に相談できる先であり、必要に応じて専門の医療機関につなぐという役割をするところでもあります。
ただし、制度化となると、かかりつけ医になるには登録が必要、ということになる。アメリカやイギリスと違って日本はまだそこまでの土台がないので、制度化はまだ早い。もっと国民の方々にかかりつけ医というものを理解していただき、みんながかかりつけ医を持つというところまでいってから、スタートすべきでしょうね。
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