マクドナルド「赤字218億円」、失敗の本質 食のトレンドに"置いてきぼり"にされた

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マクドナルドがとらえ切れていない、「食のトレンド」とは?(撮影:今井 康一)
日本マクドナルドは、2月5日に発表した2014年通期連結決算で、過去最大となる218億円の赤字(連結当期純利益)を計上した。対前年比では、269億円のマイナスとなる。これは、外食史上最大級ともいえる衝撃的な数字である。さらに、2015年1月の売上高は異物混入問題が響き、月次で前年同月比マイナス38.6%と、こちらも衝撃的な数字が続く。
さらに日本だけでなく、グローバルでも暗雲が立ちこめている。1月末には、米国マクドナルド本社のトップ、ドン・トンプソンがCEOを退任するという人事が発表された。2014年夏、中国の工場で「使用期限切れ鶏肉問題」が発覚した後、日本や中国などで売り上げが激減。アジア地区だけでなく、鶏肉問題の余波は北米や欧州市場にも影響が及んでいた。
約40年という長きにわたって君臨してきた「外食の雄」に何が起きているのか。現在の業績低迷をもたらした原因について、藤田・原田両時代の経営を詳細に分析した新刊『マクドナルド 失敗の本質――賞味期限切れのビジネスモデル』を上梓した小川孔輔氏に、マクロ的な食トレンドという観点から、事業失墜の遠因について解説してもらう。

 

10年以上にわたってマクドナルドを追いかけてきた経営学者が、 藤田田・原田泳幸両氏の戦略をレビューするとともに業績不振の真の原因に迫る。

筆者は、マクドナルド失墜の原因は、性急すぎたFC化と短期的なマーケティング施策の失敗に求めることができると考えている。

しかし、マーケティング研究者として、10年以上、マクドナルドを定点観測してきた経験から言えるのは、業績不振の根本的な理由は別のところにあるということだ。マクドナルドのビジネスモデルは、食のトレンドに合わなくなってきているのではないか。

さかのぼって2001年、当時CEOだった創業者の藤田田氏は、竹中平蔵氏との対談で、食のトレンドに関して興味深いコメントを残している。

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