イーサリアムの周りでいま何が起こっているのか 世界中の企業がマイニングに巨額資金投じるワケ

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PoSにはマイナーが存在しておらず、代わりにバリデーターと呼ばれる存在が取引記録の検証を行います。一定の仮想通貨をPoSのネットワークで長期保有(ロック)することで、バリデーターとしてブロックを検証・承認するタスクがランダムに割り当てられます。

その対価として仮想通貨を報酬として受け取ります。これが、ステーキングと呼ばれます。これにより、PoWで見られたようなマイニング事業者の競争がなくなり、電力の消費量が大幅に削減されることになります。

イーサリアムのステーキングは、一部ですでに開始されています。これは、2020年12月に立ち上がったイーサリアム2.0の基盤となるブロックチェーン(ビーコンチェーンと呼ばれる)を使って行われています。これを現在のイーサリアムのブロックチェーンと統合することで、イーサリアムのPoSへの完全移行が実現します。イーサリアムのPoSへの移行は、「統合(The Merge)」と呼ばれており、2022年中に実施される予定です。

さて、環境問題ももちろん大切ですが、PoSはスケーラビリティ問題の解決とどのように関係しているのでしょうか? PoSは、イーサリアム2.0のもう一つの目玉であるシャーディングを実施するために必要であり、シャーディングが直接的なスケーラビリティ問題への対策として位置づけられます。

「デジタルゴールド」としてのビットコイン

インフレヘッジや分散投資を目的として、アメリカを中心にバランスシートにビットコインを追加する上場企業も増えています。2021年、上場企業の中で最もビットコインを購入したのは、ナスダックに上場するマイクロストラテジーです。1年間で5万ビットコインを購入し、上場企業が保有するビットコイン総額の6.5%を保有しています。

ビットコインを保有する上場企業を国別に見ると、トップ5のうち4社がアメリカ企業でした。

またアメリカではマイアミとニューヨークという大都市で仮想通貨の受け入れ体制も一気に進みました。

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さらに、最近、仮想通貨に対して好意的な州として注目を集めているのが、テキサス州です。同州は、広大な土地や安い電気料金を背景にビットコインのマイニングが盛んな地域です。最近は、同州の政治家も積極的にビットコインや仮想通貨を取り入れる政策を発表しています。

例えば、2016年の大統領選挙でトランプ前大統領と共和党の候補者争いをしたテッド・クルーズ上院議員は、ビットコインでの給与の一部を受け取るなど仮想通貨支持派として代表的な政治家になりつつあります。

アメリカがビットコインに一目を置くようになった理由は何でしょうか? 大きな背景の1つとして、高まるインフレに対応できる資産としての期待があります。

前回:「ブロックチェーン」知らないと損する重要背景(6月28日配信)
前々回:「Web3.0と仮想通貨」今さら聞けない基本中の基本(6月21日配信)

千野 剛司 Binance Japan代表

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ちの たけし / Takeshi Chino

慶應義塾大学卒業後、2006年に東京証券取引所(東証)に入社。2008年の金融危機以降、東証傘下の清算機関「日本証券クリアリング機構(JSCC)」においてOTCデリバティブ取引の清算集中プロジェクトを主導したほか、経営企画を担当。2016年以降、PwC JapanのCEO Officeにて経営陣の戦略的な議論をサポート。2018年、暗号資産交換所の米Krakenに入社し、2020年3月より日本法人代表を務めた。日本暗号資産取引業協会(JVCEA)では副会長、日本暗号資産ビジネス協会では理事を歴任。2022年7月より現職。

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