「Web3.0と仮想通貨」今さら聞けない基本中の基本 「主権のある個人が判断すべき」ビットコインの精神

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世の中の「分散化」が進むとどうなるのでしょうか?(写真:Graphs/PIXTA)
2014年頃、日本には世界一のビットコイン取引所があった。2017年末に仮想通貨相場の盛り上がりを牽引したのも日本の投資家だった。その後、仮想通貨の「冬の時代」を経て、2020年末、アメリカを中心に世界が再び仮想通貨に目覚めた。しかし、かつての仮想通貨大国の日本は眠りについたままだった……。
DAO(分散型自立組織)、NFT(非代替性トークン)、ステーブルコインほか、仮想通貨とWeb3をめぐる最新の動向をアメリカ大手暗号資産取引所の日本代表・千野剛司氏が解説した『仮想通貨とWeb3.0革命』から一部抜粋、再構成してお届けします。

Web3.0の本質「DAO」

Web3.0の進展により世の中はどう変わるのでしょうか。Web3.0は世の中の「分散化」を進めます。ここでいう「分散化」とは、インターネットに接続する環境さえあれば、誰もが自分自身の手で、サービスの提供方法と受給方法を決定することができる状態です。

少し誇張していえば、Web2以前の世界は、GAFAや金融機関のような中央集権的プラットフォーマーがサービスを規定し、消費者はサービスを利用するために、プラットフォーマーの「養分」としてタダで個人情報を提供し、さらには料金まで支払うといったものでしたが、Web3.0では企業も個人も参加者の1つにすぎません。Web3.0の世界では、個人もプラットフォームの開発に参加することができますし、企業同様にプラットフォーム上でマネタイズすることも可能になります。

1点注意しなくてはならないのは、Web1やWeb2的な企業やサービスがWeb3.0の進展により今すぐなくなるわけではない、という点です。ビットコインや仮想通貨の熱狂的な支持者の一部には、国や行政機構の存在を否定的に捉え、仮想通貨によって自由で平等な世の中を実現したい、と考えるリバタリアン的な発想の方もいますが、私自身はこういった急進的な考えには反対の立場です。

世の中が分散化すれば、今われわれの社会が直面している諸問題が解決される、という安直な発想には与しません。Web3.0による分散化は、Web2以前よりも高いITリテラシーを前提としています。

とりわけ、各個人が自身の情報と資産をインターネット上で管理することになるため、個人情報・データ管理に関する技術的な理解が不十分なままに利用すると情報や資産を盗まれたり、犯罪に巻き込まれたりするリスクも当然あります。

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