「Web3.0と仮想通貨」今さら聞けない基本中の基本 「主権のある個人が判断すべき」ビットコインの精神

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こうした点を踏まえると、Web3.0の進展による果実を多くの人々が享受するために手助けをする企業や行政当局の存在が重要であり、こういったプレイヤーがITリテラシーの向上に資する教育を担っていく必要があります。

特に、ITリテラシーの差が経済的な格差に直結する可能性がこれまで以上にあるため、衣食住に関する福祉事業や教育のような公共サービスは、これまで同様、行政機関のような中央集権的機関が担うことが望ましいと思います(ただし、中央集権的な機関におけるサービスの合理化は進めていく必要があります)。

公共サービスのような例外はあるものの、Web3.0の進展によって最も変化する分野は、人々の「経済活動」です。特にDAOというインターネット上のみに存在する組織の登場によって、資本主義が新たな局面に入ったと考えています。

プライバシーを個人が取り戻す

仮想通貨に期待されている役割には、価値保存手段や速くて効率的な決済手段だけでなく、プライバシーの保護があります。そこには、デジタル化が進む中で、国や中央銀行、大企業など中央の管理者に私たちユーザーの経済活動の記録が管理されることに対する危機感があります。

拳銃や薬物など危険な物品を取引することは日本では禁止されており、違法行為です。仮に通貨のデジタル化によって国(そして国の意向を受けた企業)が、国民の全ての取引記録を監視することができれば、不法取引の摘発は容易になるでしょう。

そういった意味で中央集権的な発想は便利です。しかし、違法ではない商品やサービスの取引であっても、国に監視されるのはどうでしょうか。この世の中において何が正しくて何が正しくないかに対する答えが、全ての国民が納得する形になるとは限りません。しかし、デジタル技術を使った監視という武器を手に入れた国は、「正しくない取引」をしたからという恣意的な理由で抵抗勢力の経済取引を取り締まることができるかもしれません。

また、「問題ある取引」が直接的に行われなくても、特定のユーザーを狙い撃ちすることもできます。例えば、国に対する抗議デモに参加した国民とその国民のデジタル上の口座を紐づけて、口座の閉鎖や融資の停止といった措置をとることも可能でしょう。

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