イーサリアムの周りでいま何が起こっているのか 世界中の企業がマイニングに巨額資金投じるワケ

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しかし、悩めるイーサリアムに「救世主」が現れました。イーサリアムのレイヤー2ソリューションです。イーサリアムのレイヤー1が実際に取引記録をブロックチェーンに残す場所であるのに対して、レイヤー2は異なるレイヤーで取引の処理を行うことを可能にすることで、レイヤー1への負荷を減らします。ビットコインでいうところのライトニング・ネットワークがレイヤー2にあたります。

代表的なイーサリアムのレイヤー2は、アービトラム(Arbitrum)、オプティミズム(Optimism)、スタークイーエックス(StarkEx)です。イーサリアムを救うための連合軍と呼べるでしょう。レイヤー2を使うことで、取引記録の処理能力が向上しガス代を大幅に削減することができるようになります。

ステークドによると、ガス代の削減率はアービトラムは88%、オプティミズムは94%、スタークイーエックスが100%です。また1秒あたりの取引数は、イーサリアムが15回であるのに対して、アービトラムは最大2万回、スタークイーエックスは9000回です。

イーサリアムのレイヤー2には、イーサリアム2.0が完了するまで、イーサリアムへの需要をつなぎとめる役割が期待されています。PoSのデカコーン対イーサリアム連合軍の戦いは今後も注目です。

世界中の企業が巨額の資金を投じるマイニング設備

現在、世界中の企業がマイニング施設の建設や機器購入に巨額のマネーを投じています。

アメリカではナスダック市場を中心にマイニング企業が複数上場しています。

マイニングで消費する大量の電力が環境に悪いとの声が世界中から出ています。有名なのは、テスラのイーロン・マスク氏が、「環境への負荷」を理由にテスラ車を買う際の支払い手段としてのビットコインの受け入れを取りやめたことでしょう。

ただ、最近では北米を中心に再生可能エネルギーを使ったマイニングへの意識が高まっています。ビットコイン・マイニング協議会によりますと、2021年時点で既に世界のマイニングに必要な電力の56%が再生可能エネルギーでまかなわれています。

対照的にPoSは、環境フレンドリーな合意形成アルゴリズムといわれています。イーサリアム財団は、PoSに移行したらPoW(プルーフ・オブ・ワーク)で使う電力消費量の99.9 5%を削減できるという試算を発表しました。PoSは、高性能のコンピューターを必要とせずスマートフォンからの参加が可能です。

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