「出生率1.35」手厚い国フィンランドに走った激震 1990年から2014年までは1.7を維持していた
出生率の低下
フィンランドは子育て支援が充実した国として知られているが、少子化も急激に進んでいる。2010年には1.89だった合計特殊出生率も、2019年には1.35にまで低下。この間は決して不況続きだったわけではなく、原因は明確になっていない。低下が一時的なものなのか、継続的なトレンドなのかもはっきりしていないのが現状だ。
出生率低下の背景には複数の要因があるとされているが、その1つが不安定な雇用だ。フィンランドでは若いうちはフルタイムの仕事に就けないことも多いし、たとえ雇用されたとしてもリストラの不安が大きいため、家族を持とうという気になれない。そこに都市部の住宅費高騰が追い打ちをかける。
ライフスタイルや家族観の変化もある。最近では、「誰もが子どもを持つ人生」が当たり前だとは思われなくなってきた。現在、都心部に住む40代前半の男性の約3割には子どもがいない。
2018年に発表された統計では、20~59歳の男女の15%が「子どもは欲しくない」と回答している。仕事と家庭の両立が難しい、自分のキャリアへの悪影響がある、幼い子どもにコミットした生活をしたくない、といった理由があるようだ。
この問題に対して、フィンランド政府はまだ具体的な対策を取っていない。出生率が下がったといっても、1990年から2014年までは1.7を維持していたため、この間ずっと1.3~1.5と低迷していた日本ほどの切迫感がないのかもしれない。
また、移民を受け入れていることもあり、フィンランドの人口は毎年微増している。だが、このまま出生率が下がり続けるようであれば、移民の数を現在の2倍に増やす必要があるとされている。
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