広末涼子、41歳「年を重ねることは、案外悪くない」 彼女が「自分は自分」と思えるようになるまで
そんな最中、23歳で結婚、出産。私にとってこの出産は、いっぱいいっぱいの状況を一度リセットしてくれる出来事でした。
当時は、女性の俳優さんが子育てをしながら仕事をするケースがまだ少なかった時代です。子どもが生まれたらキャリアは手放して家庭に入るべき。そんな雰囲気があったように感じました。
でも、私はそれに納得がいかなかった。どうして女性だからって何かをあきらめなきゃいけないんだろう。なぜ母親になったら仕事ができなくなるんだろう。1つのものを手にするためにもう片方を諦めるような生き方を、私はしたくありませんでした。
それに、結婚しても子どもを持ってもこの仕事は続けられるんだ、ということを自分を通して証明したかったんです。
腹をくくったら怖くはなくなった
よくその若さで決断できたねと言われましたが、迷いはありませんでした。
「女性はこうあるべき」という社会からの圧力に潰されそうになったり、周りがつくった自分のイメージに必死に合わせようとして苦しくなったり。そんな状況に不安や疑問を抱えている人が、たくさんいました。
「出産・育児で現場を離れたらもう戻れない気がして怖い」という声を聞くことも、少なくなかった。だから、まずは私が腹をくくって「やろう」と決めたんです。戻れなかったらそれまでだ、と覚悟して。
そう考えられたのは、おそらく母の影響です。
私が芸能界に入って間もない、まだ中学3年生の頃のこと。ある連ドラのお話をいただいたんです。私はその作品に出たかったんですけど、母は「高校受験が終わってからじゃないとダメ」と首を縦には振りませんでした。
そのときはもう大げんか(笑)。「チャンスを逃して夢がかなわなかったらどうするのよ」と訴える私に、母は「これでかなわなかったら、それまでなのよ」ときっぱり。なんて潔い人なんだとわが母ながら思います。