一方、アメリカは国民負担率が低い(32.4%)ですが、これは、北欧諸国に代表される「高福祉・高負担」とは対極の「低福祉・低負担」を方針としているためです。「国はあまり面倒見ないので、負担は少なくしますが、その代わりに自分でなんとかしてください」ということで、良い悪いは別として、筋は通っています。
ではここで日本に立ち戻ってみましょう。読者の皆さんの中で、「税・社会保険料(の負担増)が生活の安心感につながっている」と思っている人はどのくらいいるでしょうか?
極端に言えば、多くの方が、税・社会保険料は召し上げられる(二度と戻ってこない)ものという感覚だと思いますし、世代が若ければ若いほど、その感覚は強いのではないかと思います。
「老後や何らかの理由で生活が苦しくなったときに助けてもらえる」という「安心感」が社会保障制度の根幹であり、そこには、納めた税・社会保険料を、無駄なく、適切に活用してくれるという「国・政府に対する信頼感」も不可欠です。
国民負担率が高くても、国・政府を信頼し、「税・社会保険料=貯金」との感覚が持てれば、負担感は軽減されますが、その感覚が持てないなかで、今後も負担率が上昇していくとどうなるでしょうか。
税・社会保険料の負担増に耐えながら、それでも老後や働けなくなった時などのために、生活を切り詰めて、こつこつ貯金せざるを得ず、結果、経済成長の原動力となる消費も縮小してしまいます。
「アメリカ並みの低福祉・北欧レベルの高負担」に?
社会保障制度のあり方は、国によって異なります。これまで日本は、アメリカと北欧諸国の中間に位置づけられる「中福祉・中負担」の国と言われてきましたが、少子高齢化が進み、税・社会保険料負担は増えるが、社会保障が追いつかず、「アメリカレベルの低福祉・北欧レベルの高負担」となってしまう懸念もあります。
参議院議員選挙が近づいていますが、残念ながら、この問題が真っ向から取り上げられることも少なくなってきています。問題が大き過ぎるということもあるかもしれませんが、この問題は、私たちのみならず、子どもたちの将来に直結します。改めて、私たち国民が、この問題を再認識し、議論を呼び起こしていくことが必要だと思います。
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