岸田首相の「資産所得倍増計画」は意外に使える? 「老後2000万円問題」も解決できるかもしれない

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一方、ひとくちに「資産所得を倍増する」と言うが、資産からの所得は経済格差拡大の主要な源泉の1つだ。当初、「分配を重視する」と言っていた岸田首相の考えが「新しい資本主義」に反映するのだとすると、大きな資産を持っている富裕層の資産所得を倍増することは、他に強力な富の再分配策が伴わないのであれば、経済格差拡大に直結する。

では、どうしたらいいのか?

つみたてNISAの「倍増」が優れる4つの理由

資産所得倍増プランは、「つみたてNISA」の年間非課税投資枠の上限を現状の40万円から84万円へと、ほぼ「倍増」するのがいい。「端数の4万円分」は、毎月の積立額が12で割り切れるようにするための「おまけ」だ。

ここで、①つみたてNISAと②一般NISAとの違いを簡単に説明しておくと、非課税投資枠こそ②が①の3倍の年間120万円だが、非課税期間は①最長20年間②同5年間、また投資できる商品も①厳選された投資信託から選択②国内外の個別株や投資信託など多岐にわたるなど、①と②はかなり異なる。

2024年から新しい制度・通称「新NISA」に移行する一般NISAの増枠や、iDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出可能年齢上限の引き上げなども行われていいと思うが、筆者はつみたてNISAの「倍増」が圧倒的にいいと考える。以下に理由を述べる。

第1にメリットがわかりやすい。これまで年間40万円を上限とする積み立て投資で資産を形成するとしてきた制度の、利用枠が「倍増」するのだから、「資産所得倍増」の趣旨にふさわしいし、シンプルでメリットが明快だ。

第2に、「金持ち優遇」につながらないことだ。

つみたてNISAは、すでにまとまった金融資産を保有する人よりも、これから資産を形成しようとする個人を対象に設計された制度だ。20代、30代の利用者も多い。もちろん、つみたてNISAは高所得者や富裕層も利用できて、相応のメリットはあるが、もたらされるメリットの保有資産に対する相対的な効果は、資産額がまだ小さい「資産形成層」にとってより大きい。

端的に言って、つみたてNISAの上限利用額が「倍増」されても、富裕層がいきなり大きなお金を投資して、庶民よりも大きなメリットを得ることはできない。

年間非課税利用枠が84万円ということは、月額7万円の積み立てが可能になる。これと厚生年金に加入するサラリーマンのiDeCoの利用枠2万3000円を合わせると、9万3000円になる。

サラリーマンの場合、おおむね手取りの2割くらいの金額を貯蓄・投資に回すと老後の備えとして「まあまあ十分」なのだが、ここから逆算すると、月の手取り所得46万5000円(=9万3000円×5倍)までの人にとって、つみたてNISAとiDeCo双方を利用することで、おおむね老後の備えができることになる。岸田首相の言う「中間層」の資産形成ニーズの、かなりの部分をカバーできる。

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