岸田首相の「資産所得倍増計画」は意外に使える? 「老後2000万円問題」も解決できるかもしれない

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さて、冒頭から絶望的な気分になった「グランドデザイン」なのだが、ビジネスパーソン諸氏は、自分のビジネスに関連する部分を、少々我慢してでも、ぜひとも読み込むべきだ。例えば官庁を直接相手にするビジネスをしている商社マンなどにとっては、必須の基本動作だ。

商社マンでなくても、大企業の企画部署の社員は、多分大多数が読んでいるだろう。これからどんな分野で予算が動いたり、規制が変わったりするのかに関するヒントが、この種の文章には豊富に埋め込まれている。

「新しい資本主義」に関するこの検討会も、報告書の文書ができあがると、官僚はこれを無視するわけにもいかないし、それ以上に自分がやりたいと思う政策を報告書の文書に関連付けて「利用」することはできないかと頭を使うはずなのだ。今回発表された「グランドデザイン」は、一部に文言の修正が入るかもしれないが、大半が報告書に残るのではないだろうか。

現実にありえない事実を仮定する「仮定法」の世界に入って、仮に筆者が官僚だとしよう。筆者は、岸田首相の「新しい資本主義」について、心からバカにすることは間違いないが(だから出世できないはずだ。どうしても顔に出てしまうから……)、たぶんそれ以上に言葉だけを先行させて、コンセプトのレベルから具体策まで丸投げで「後付け」を許してくれる岸田首相に対して「使いやすい首相だ」と思って一面では気に入るだろう。

現実に戻ると、筆者の立場なら、まずは「グランドデザイン」に、資産運用や証券ビジネスに関係するテーマの記述はないかを探すだろう。

「資産所得倍増計画」はNISA改革で?

実際、探してみると、興味深い箇所が見つかった。項目のタイトルは、「(3)貯蓄から投資のための『資産所得倍増プラン』の策定」だ。上記のグランドデザインの7~8ページに記述がある。

「個人金融資産を全世代的に貯蓄から投資にシフトさせるべく、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的な拡充を図る」と驚くほど強い調子で書かれている。iDeCo(個人型確定拠出年金)や、金融リテラシーの啓蒙などに関する記述もあるが、NISAのように、強い言葉を使っては書かれていない。

「資産所得倍増」は最近の首相の言葉の中でも注目度の高いものの1つだ。このテーマに関連する政策が今後「ない」ということはありえない。そして、その本命がNISAの改革に絞られた、と解釈できる。加えて、本年末に総合的な「資産所得倍増プラン」を策定する、と期限が切られている。

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