W杯イヤーに苦戦するサッカー日本代表の現在地 超満員ブラジル戦が人気回復の起爆剤になるか
これまで日本代表は93年Jリーグ発足から約30年にわたって「ドル箱」と言われ、国民的関心度が極めて高いとされてきたが、スポーツや娯楽の選択肢が増え、SNSが発展した今、サッカーだけがキラーコンテンツに君臨し続けているのは難しい。ゆえに、原点回帰を図ったうえで、地道な取り組みから始めていくべきなのだ。
JFAはさらに下の小学生年代以下にもフォーカス。トヨタ自動車と連携して、全国の保育園・幼稚園を回ってサッカーに親しんでもらう「キッズ巡回指導」に着手している。今年2月からは小学生(12歳)以下のサッカー選手の登録料(年間700円)の無料化も実施。大幅減収は避けられないが、未来への投資を優先し、10億円規模を捻出して急ピッチで普及活動を進めている。
これだけJFAが本気でサッカー底上げに取り組むのは、W杯初出場を果たした98年フランス大会以降、初めてではないか。それだけ彼らの危機感が強いということだ。
幸いにして、ブラジル戦当日の新国立には、子供たちや10~20代の若年層の姿が目立った。大半はネイマールらブラジル代表目当てだったかもしれないが、今回の日本代表の奮闘ぶりを目の当たりにして、関心を持つ子供が増える可能性は少なくない。試合前には最終予選で4ゴールを挙げた伊東純也(ゲンク)の大ポスターの横で記念撮影する少年たちも少なくなかっただけに、期待は持てそうだ。
6月の強化試合は残り2試合
日本代表はこの後、10日のガーナ戦(神戸)、14日のチリもしくはチュニジア戦(吹田)に挑むことになっている。ガーナとチュニジアはカタールW杯出場国。こういった相手にブラジル戦以上の好勝負を演じてこそ、機運が高まっていくはずだ。
そして本大会ではドイツ、スペインという強豪と同組。彼らを破らなければ1次リーグ突破も悲願のベスト8入りもあり得ない。ブラジル戦を見ても分かる通り、極めて高いハードルなのは間違いないが、彼らの命運が日本代表、日本サッカー界の今後を左右すると言っても過言ではないだろう。
「協会が2050年までにW杯優勝という目標を掲げている中で、強豪に勝っていかないとその目標は厳しい。どうにかして厳しいと言われている壁を僕たちで乗り越えていければいけない。そういう姿を子供たちに見せたいと思っています」と23歳の堂安律(PSV)も語気を強める。その言葉が現実になるように、ここからの躍進を願ってやまない。
(本文中敬称略)
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