W杯イヤーに苦戦するサッカー日本代表の現在地 超満員ブラジル戦が人気回復の起爆剤になるか

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日本テレビ系列のテレビ生中継の視聴率が22.4%を記録したことも前向きな材料。最高瞬間視聴率はネイマールがPKを決めたシーンで、27.6%に到達したというから驚きだ(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

ご存じの通り、2021年9月~2022年3月のカタールW杯アジア最終予選は、アジアサッカー連盟(AFC)から独占放映権を獲得した有料映像配信サービス・DAZNの配信がメインだったため、一般視聴者の観戦機会が著しく減ってしまった。本大会切符を獲得した今年3月のオーストラリア戦(シドニー)で、若きスター候補・三笘薫(サンジロワーズ)が2点を叩き出して勝利したことを知らない人も少なくなかった。

代表人気が復活する起爆剤に

だが、今回のブラジル戦によって、日本代表の存在が再び多くの国民にインプットされた。しかも今年はW杯イヤー。本大会はNHK、フジテレビ、テレビ朝日が日本戦を地上波放送することが決まっている。加えて、ネットテレビ局のAbema(アベマ)TVも大会全64試合を無料配信する予定で、より多くの人の目に触れる機会が確実に増える。それは間違いなく追い風と言っていい。

来るべきビッグイベントに向け、日本サッカー協会(JFA)は4月からテレビ局の専門メンバーと会合を立ち上げ、情報発信の方法やタイミングについての議論を行っている。

「今後も代表戦の基本は地上波だが、アベマとともに新たな事業展開ができるのは前向きなこと」とJFAの須原清貴専務理事も話したが、まずはブラジル戦で視聴者獲得の布石を打つことに成功したと見てよさそうだ。

これを機に、代表チームや選手個々の認知度アップも図りたいところ。選手側もその重要性を認識している。キャプテン・吉田は特に強い自覚を持つ1人。「自分たちから露出を増やさないといけない」と強調し、20代の主力メンバー数人に「今年の欧州シーズンオフ期間は沢山のメディアに出てほしい」と伝えたというほどだ。

彼は2011年から12年間代表に居続け、つねにスポットライトを浴びてきた選手。本田圭佑を筆頭に、香川真司(シントトロイデン)、長谷部誠(フランクフルト)、内田篤人(JFAロールモデルコーチ)ら知名度の高い面々とともに代表人気全盛期を生きてきた。だからこそ、そういった発言が出るのだろう。

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