男性育休「丸2年取った人」が得た新しい人生観 キャリアや収入源の不安とどう向き合ったのか
4月から、男性が育児休業を取りやすくするための新制度がスタートした。改正育児・介護休業法が施行されたことで、企業には社員に育休取得の意向確認や制度の周知が義務付けられるようになった。10月からは、妻の産休期間に合わせて取得できる「産後パパ育休」も始まる。
制度の拡充により、これから多くの男性が育休を取得するようになることが期待されるが、足元では取得者は少数派だ。厚生労働省の「令和2年度 雇用均等基本調査」によると、2020年度の男性育休取得率は12.65%。2019年度の7.48%と比較すると増加傾向にあるものの、依然として低い数字だ。
しかも、この12.65%にはほんの数日育休を取得しただけの人も含まれる。実際、同調査において、育休を取得した男性のうち「育休期間が5日未満だった」と回答した割合は28.33%にのぼった。
長期間育休を取った男性たち
こうした現状でも、まとまった期間の育休を取得した男性社員はいる。彼らはなぜ「仕事を休む」ことを決断したのか。キャリアやお金の不安と、どう向き合ったのか。その実態に迫った。
「会社の社内報で、2週間の育休を取得した男性社員が誇らしげに紹介されていた。男性も育休を取得しやすくなるのは良いことだが、僕から見れば、生後2週間で十分だとは、とても思えない。夜泣きがつづく赤ちゃんのお世話で右往左往しているうちに、育休が終わってしまいますよね」
そう語るのは製薬会社で開発職に携わる加藤良太さん(仮名・30代)。加藤さんは第一子が生まれてから丸2年、育休を取得した。育休取得を申し出たのは、中途入社した会社で入社4年目というタイミング。まずは1年の育休取得を希望した。直属の上司は、希望する期間の長さにやや驚いたようだったが、自身も子育て経験者であり、とくべつネガティブな反応はなかった。
「ただ、いざ育休をとろうとしたら、会社での手続きのすべてが女性向けになっていて。産休と育休をあわせて申請するフローになっていたりと、男性はどうすればいいのか戸惑いました。当時はまだ、会社側も男性を育休対象者として想定していなかったんですよね」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら