「全国初めての猛暑日」5月に35℃を超えた理由 インドで50℃に迫る高温、国連が気温上昇に警鐘

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熱中症予防のポイント(出所:weathermap)

また、最近はいろいろな暑さ対策のグッズが出ています。持ち歩けるハンディ扇風機は街中でもよく見かけるようになりました。

ひんやりグッズにも注目です。首、脇の下、足の付け根など太い血管が通っているところを冷やすと、効果的に体を冷やすことができます。外でも冷やしやすいのは首かと思いますが、ネッククーラー(アイスネック、アイスリング)といわれる首にかけて冷やすグッズが便利です。自然由来の素材でできた環境に優しいものや、首が疲れにくい軽量のものが出ています。

保冷剤ほど急激に冷えないので、肌にも優しそうだと感じました。

ネッククーラーを用意しておくのも手です(写真:metamorworks/PIXTA)

服などにかけると涼感を得られるスプレーもあります。暑がりの共演者の方がよく使っていて、私も使ってみたら予想以上にひんやりしました。

夏に向けて、今のうちに自分に合った熱中症対策を見つけることをおすすめします。

気候変動へのアクションを

今年5月、国連の専門機関であるWMO(世界気象機関)は、今後5年以内に産業革命前と比べて1.5℃の気温上昇が一時的に起こる可能性が50%近くまで高まっているという厳しい見方を示しました。イギリスの気象庁の調査に基づくものです。

産業革命前と比べて1.5℃の気温上昇は、気候変動によって深刻な影響が広がるとされる1つの目安です。昨年1年間の世界の平均気温は、すでに1.1℃上昇しています。

また、WMOは5月18日、世界の平均の海面水位が昨年までの30年間に10センチ以上も上昇したと発表しました。特に近年、海面水位が上昇する速度は増しています。

その原因として、南極などの氷が溶けて海水の量が増えていることなどが挙げられています。

世界の平均気温や海面水位、南極の氷、というと実感は湧きにくいかもしれませんが、今回の暑さのような身近な出来事が気候変動へのアクションを考え、実践していくきっかけになればと思います。

久保井 朝美 キャスター、気象予報士、防災士

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くぼい あさみ / Asami Kuboi

愛知県岡崎市出身。9月20日(空の日)生まれ。NHK総合「サタデーウオッチ9」気象キャスター。父の影響でよく登山をしていて、天気に興味を持つ。農業の経験や番組で気象情報を担当したことから、気象と生活・経済との密接な関係を実感し、気象予報士の資格を取得。子どもからお年寄りまで分かりやすく、命を守る情報を伝えるため、テレビに出演、全国で講演を行なっている。趣味は、お城めぐり、アニメ。2021年「美人すぎるお天気キャスターランキング」1位に選出。

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