ZOZO SUIT終了「5つの失敗」裏で得た意外な財産 夢は破れたが大胆すぎる施策には意味があった

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失敗1:ZOZO SUITの仕様を変更

当初、スーツ全体にセンサーを張り巡らせ、それを胸のあたりにある電子デバイスに集約してBluetoothでスマホに送るような高機能のスーツを配布していました。ところが予約数が一気に100万件を突破し、高コストであると同時に生産が間に合わないという問題が発生します。そこで急遽ZOZOはZOZO SUITの仕様を変更します。

新しいZOZO SUITでは体中に300~400個の円形のマーカーをデザインし、それをスマホカメラで読み取る方式に変更したのです。3カ月でこの変更を発表したドタバタ感はありましたが、これで2018年7月には予約分の100万着のZOZO SUITを発送できるめどができました。私の手元にもこの改良バージョンのZOZO SUITがこの後、届くことになります。

マーカーが読み取りづらく性能がそれほどでもない

失敗2:ZOZO SUITのマーカーが読み取りづらい

この改良タイプのZOZO SUITが広まりだした頃からネット上で「アプリでZOZO SUITをやってみたが読み取れない」という報告が相次ぐようになりました。後にいろいろな人が解明してくれるのですが、簡単に言えば当時のアプリやスマホカメラの性能では狭い部屋やごちゃごちゃ物が置いてある部屋の暗い照明の下だとマーカーの読み取り精度が悪かったようです。

私も事務所でやってみたのですが、まず着た段階で結構恥ずかしいというか、他人にはその姿を見られたくない。そのような格好でアプリの音声にしたがって「1時の方向を向いてください」「2時の方向を向いてください」みたいにやってみて、最後に「読み取れませんでした」というのは精神的に結構なダメージがあったことを覚えています。

失敗3:性能がそれほどでもない

発売当初のセンサー式のZOZO SUITでのPB商品購入者の反応は結構よかった様子です。開始後3カ月以内のユーザーは配布されたZOZO SUITで6割の人が体型を計測し、その5割の人が平均2.5点の商品を購入し、平均購入金額は7500円、返品はほぼゼロという好スタートでした。

ところが改良タイプのZOZO SUITでは状況がちょっと変わったようです。あくまでネット上の反応ですのでネガティブ情報の比率が多いとは思いますが、購入した商品が体にフィットした人と、フィットせずに交換してもらったという人が半々ぐらいの割合でツイートするようになりました。

ただ交換するとベストフィットになるということで顧客の評判はそれなりによかった状況だったと思われます。一方でほぼほぼオーダーメイドの商品ですから交換となるとZOZO側のコストアップ要因にはなると思われます。

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