例えば、腹筋運動をする際、床に仰向けになりながら少しだけ背中を丸めておき、(頭をぶつけない程度に)上体を床側に反らせて、一度強く腹筋を伸ばしてから、上体を起こせば、伸張反射と弾性エネルギーが使えるので、ラクに起き上がることができます。その後はゆっくりと上体を床に下ろして腹筋を伸ばしていきます。
エキセントリック・トレーニングを安全かつ効率よく行うためのポイントをまとめたので、参照ください。
1.フォーム
コンセントリックな収縮をする(重りを持ち上げる)局面ではフォームが崩れても構いませんが、エキセントリックな収縮をする(重りを下ろす局面)では、鍛えたい筋肉だけを使って重りを下ろします。下ろすときはフォームを崩さないようにしましょう。エキセントリック・トレーニングの意味が半減してしまいます。
なお、前回お話をしたように、重りを一旦床に落とすなどして、その反作用を用いてしまうとエキセントリックな収縮がおろそかになるので、重りを落とさない、床にぶつけないことも大切です。
2.呼吸
「上げ=吐く、下げ=吸う」が筋力トレーニングの原則ですが、重りをゆっくり下ろすエキセントリック・トレーニングをする場合、逆にして「上げ=吸う、下げ=吐く」にしたほうがやりやすいでしょう。
というのも、息を吐くことは口をすぼめるなどして時間を伸ばしやすいのですが、息を吸う際には気圧によって勝手に空気が肺に取り込まれるため、時間を伸ばしにくいからです。
初めは無理せず2秒からはじめる
3.動作スピード
先に紹介した①~③の方法では、コンセントリックな収縮にかける時間の目安は1秒かそれ以下、エキセントリックな収縮にかける時間は2~5秒 です。無理をせず2秒から始めて、筋力の向上に応じて少しずつ5秒まで時間を伸ばしていきましょう。
4.回数、セット数、休息時間
通常の筋トレでは1回の動作は3~4秒程度ですが、エキセントリック・トレーニングでは、4~6秒を要します。そのぶん筋肉にかかる負担が大きくなりますので、回数は通常の筋トレよりも少し少なめの4~8回にしましょう。4~8回反復したあと、約1分間の休息を挟んで3セット行うのが理想です。
筋肉は筋線維という髪の毛1本分ほどの細い線維の集まりで、1回の収縮には一部の筋線維しか参加しません。3セット行うことで、まんべんなく筋線維を使うことができます。
5.トレーニング頻度
通常の筋トレでは2日程度の休息を挟んで週に2~3回行うのですが、エキセントリック・トレーニングは筋肉に対するストレスが大きいため、3日の休息を挟んで週に2回にしましょう。
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