休日の土曜夜「ニュース番組ばかり」の残念な真相 テレビ局が直面する「若者放置」のジレンマ

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話を整理すると、「本当は10~40代の『コア層』を獲得できるバラエティーやドラマを放送したいが、休日の土日でもそれらをリアルタイムで見てもらえなくなった」「だから高齢層メインのニュース番組を放送しているが、一方でその数が増えた今の状況を危惧している」ということ。「ニュース番組で個人視聴率全体や世帯視聴率を得られたとしても、素直に喜べる状況ではない」というジレンマを抱えているのです。

また、今春にNHKの「ニュースウォッチ9」がスタートしたことで視聴動向が変わり、民放の「サタデーステーション」や「情報7daysニュースキャスター」に視聴率やCM収入などの面でネガティブな影響が出る可能性は十分ありえるでしょう。

とはいえ、NHKの新番組を「民業圧迫だ」とは言い切れません。前述したように民放側には、「世帯視聴率や個人視聴率全体を得るために、土日のニュース番組を放送してきた」という背景があり、そもそもニュース番組は公共放送であるNHKのベースとなるコンテンツ。逆にNHKが民放と同じようなコンセプトのドラマやバラエティーを放送したら、「民業圧迫」と言いたくなる気持ちは理解できるものの、ニュース番組については「自業自得」というニュアンスが大きいのです。

「不安」「ショック」を視聴率に直結

そしてもう1つ挙げておかなければいけないのは、このところ人々の不安をあおるようなニュースが増えていること。コロナ禍がはじまった2020年春から現在まで、国際情勢、事故、事件、災害、企業や自治体の不祥事など、「目を背けたいけど、気になって見てしまう」というタイプのニュースが続いています。

このような人々の「不安をあおる」「ショックを与える」などの刺激的なニュースは視聴率が伸びやすい傾向があり、制作サイドはそれを探し、長時間を割いて扱っていることも間違いのないところ。しかし、その不安やショックは一部の人々を引きつける以上に拒絶反応を示す人々も多く、「仕事や勉強を忘れてゆったりとした休日を過ごしたい」という人にとってはなおのことでしょう。

土日に放送されるニュース番組が多く、さらに不安やショックを感じるような内容が多ければ、その番組やテレビ局だけでなく、テレビ全体のイメージダウンにもつながりかねません。実際、「テレビはコロナばかり」「ニュース番組ばかりでつまらない」などの声は、本来ターゲットとして狙うべき10~40代の「コア層」ほど多く、各局のテレビマンたちはそのことをわかっていても変えられないのです。

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