休日の土曜夜「ニュース番組ばかり」の残念な真相 テレビ局が直面する「若者放置」のジレンマ

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やはりすべての元凶となっているのは、視聴率をベースに放送収入を得ているという時代錯誤なビジネスモデルにあり、そこから抜け出せないこと。私が知る限りテレビ局員の中には今も0.1%の視聴率を上げる、いや0.1%を下げないために、小手先の対策を日々考え続けている人が多いのです。

録画機器が発達し、配信での視聴も幅広い世代に浸透。「見たいときに見たいものを見る」「リアルタイムで見なくてもTVerで見ればいい」という行動パターンが当然のようなった今、「リアルタイムで見てもらう」という不自由を強いる形のビジネスモデルはどう見ても無理があります。

ドラマには光明もバラエティ-はきつい

だからこそ民放各局にとって「放送による視聴率以外の収入をどのように得ていくか」は喫緊の課題なのですが、その点ですでに動きが見られるのはドラマ。放送による視聴率に加えて配信再生数も評価指標に入れ、さらに、その先の海外配信、映画、イベント、グッズ、企業コラボなどによる収入を含めたビジネスモデルに変わりはじめているのです。

ただ、そのドラマに続くはずのバラエティーは、配信再生数が伸び悩み、その先の収入も見込みづらいなど、視聴率の低下によるCM収入ダウンを補うものが見いだせていません。「制作費や手間がかかる割に、視聴率が獲れず、今後の見通しも立っていない」という苦しさがあるから、「それならニュース番組を放送して、個人視聴率の全体だけでも獲っておこう」という後ろ向きな発想になってしまうのです。

テレビマンの多くもサラリーマンだけに、降格や左遷があれば、給料ダウンもあります。「本当はこうしたほうがいいのはわかっているけど、目の前の数字をある程度作っておくことも重要」「自分の世代は何とか定年まで乗り切れるかもしれない」などと考えてしまうのは仕方のないところもあるでしょう。

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