休日の土曜夜「ニュース番組ばかり」の残念な真相 テレビ局が直面する「若者放置」のジレンマ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

しかし、テレビという媒体のブランディングで言えば、土日にこれほど多くのニュース番組が放送され続けていることのデメリットは計り知れません。業界内で紳士協定を結ぶくらいのことをしなければ、CM収入がさらに下がるなど、ビジネススケールは小さくなっていく一方ではないでしょうか。

例外は「笑いの土曜日」に挑むフジ

そんな危うさを感じてしまう土曜夜のテレビ番組表で唯一、攻めた番組編成をしているのがフジテレビ。

土曜夜は「芸能人が本気で考えた!ドッキリGP」「新しいカギ」「さんまのお笑い向上委員会」とお笑い純度の高いレギュラー番組をそろえ、さらに単発特番枠の「土曜プレミアム」でも「IPPONグランプリ」「ENGEIグランドスラム」「人志松本のすべらない話」「ただ今、コント中。」「ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ」「ドラフトコント」「まっちゃんねる」などのオリジナリティーあふれるバラエティーを放送しています。

これは昨秋から「笑いの土曜日!」というコンセプトで行われている編成で、「週末はテレビを見て笑ってもらいたい」という思いによるもの。バラエティーの中でも「笑い」を優先的に選んでいること、18時以降ニュース番組を一切放送していないことなど、フジテレビが他局とは一線を画す戦略を採用していることは明らかです。もちろんすべてのテレビ局が同じような戦略を採用する必要性はありませんが、ニュース番組を放送している他局より視聴者の支持を得ているのは間違いないでしょう。

そんなフジテレビの土曜バラエティーも、「リアルタイムで見てもらい、視聴率を獲らなければいけない」という難しさを抱えているのは他局と同様。今後はいかに「リアルタイムで見たい」と思わせるライブ感を与え、「SNSに書き込んで盛り上がりながら見る」などの視聴習慣をつけてもらえるかが問われていくでしょう。

目先の結果に左右されず、この戦略を続けられるのか。テレビ業界にとって土曜夜は重要な時間帯だけに、もしかしたら同局だけでなく、テレビ業界全体の未来をも占うチャレンジになっていくのかもしれません。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事