「観客フル動員」になってもプロ野球が伸び悩む訳 カギを握るのは応援解禁か、野球の魅力アップ

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2019年のプロ野球は9割弱の動員率。両リーグ合わせて26,536,962人は史上最多。しかしコロナ禍で無観客から入場制限をして行われた2020年は4,823,578人と2019年比18.17%まで激減、2021年は規制が多少緩和されたものの7,840,773人、2019年比29.54%だった。それだけに今季の「フル動員」は、12球団の悲願でもあったのだ。

各球団の今季への期待は大きかったが、コロナ前の7割強の動員率は厳しいと言わざるを得ない。オミクロン株になって重症者、死者数は減少したが、陽性者数は減っていない。国は段階的に規制を緩和しつつあるが、客足に影響しているのは間違いないだろう。

それ以上にプロ野球の場合、「応援が規制されていること」が大きい。「ずっとレフト側の応援席で応援歌を歌ったり大声で声援を送ったりしてきた。ストレス発散できたし、生きがいだったが、今は球場に行っても手拍子以外何もできないから、かえってストレスがたまる。だから行かない」

関西在住のロッテファンは語る。今の球場は歌ったり声を上げるのは禁止。ハイタッチもできないしジェット風船なども禁止、客席の移動もできない。

外野の応援席の動員は芳しくない

一部に禁を破って大声を出して顰蹙を買うファンもいるが、概ねファンは規制を順守している。警備員が定期的に巡回して大声をあげたり、マスクを着用していない客を注意している。

外野の応援席の動員は芳しくない。プロ野球の魅力は「観戦」だけでなく「応援で試合参加」することにある。それができない今の球場は「魅力が半減」していると感じるファンも多いのだろう。

Jリーグは政府の基本的対処方針に基づき効果的な感染症対策を講じながら声を出して応援できる「声出し応援エリア/声出し応援席」を段階的に導入していくことを決定した。NPBも同様の措置を取ると思われる。今後の観客動員の動向に注視したい。

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