「観客フル動員」になってもプロ野球が伸び悩む訳 カギを握るのは応援解禁か、野球の魅力アップ

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NPB各球団もここ2年は厳しい経営状態だったと考えられる。1954年の国税庁通達によってNPB球団の親会社は、球団の経営支援のために支出した金銭を「広告宣伝費」として算入することが認められている。広島を除く11球団は親会社の連結子会社になっているので、その多くが広告宣伝費名義の損失補填を受けたものと思われる。

今年1月、筆者はこのコラムで埼玉西武ライオンズ、横浜DeNAベイスターズの営業部門の責任者の話を聞いたが「一番の肝となる観客動員が作れなかったというのは、率直に言って非常に苦しかった」(DeNA、林裕幸ビジネス統括本部長)、「すでに球場の改修が進んでおり、これから観客動員を増やしていこうと意気込んでいた矢先でのコロナ禍でしたから、なおさらダメージが大きかった」(西武、光岡宏明経営企画部長)と口をそろえて苦境を訴えた。

今シーズンの「観客フル動員」は大げさでなく「NPB存続」に関わる喫緊の課題だったのだ。

開幕から2カ月後の各球団の状況は?

12球団の要望を受けて「フル動員」で始まった今季、開幕から約2か月の状況でどうなっているのだろうか?

交流戦前の5月23日時点での各球団の数字を見ていこう。コロナ直前の2019年と今季の1試合当たりの観客数と動員率(=観客数÷収容人員)、2022年の%は、2022年の動員率の2019年との比較。

なお、NPB球団は地方球場でも主催試合を行うが、これは除外した。12球団の本拠地(オリックスは京セラドーム大阪とほっともっとフィールド)13球場のみの比較とした。球場によっては2019年と2022年で収容人員が異なる場合もあるが、これも加味した。

セ・リーグ
ヤクルト(神宮)
2019年67試28,359人(91.57%)
2022年18試18,627人(51.55%)56.30%
阪神(甲子園/京セラD)
2019年71試43,124人(93.61%)
2022年26試36,765人(86.60%)92.51%
巨人(東京D/京セラD)
2019年67試43,873人(97.45%)
2022年23試32,934人(71.60%)73.47%
広島(マツダ)
2019年70試31,766人(96.26%)
2022年24試27,500人(83.33%)86.57%
中日(ナゴヤD・バンテリンD)
2019年71試32,188人(88.50%)
2022年22試23,631人(64.97%)73.42%
DeNA(横浜)
2019年71試32,162人(98.59%)
2022年22試24,384人(71.62%)72.65%
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