これからの有休取得日は「企業が決める」? 日本企業人の「休み方」はどう変わるのか
今年の通常国会が1月26日、始まった。さまざまな法案が審議されるが、労働基準法の改正案もそのうちのひとつだ。その中には「有給休暇」をめぐる新ルールが盛り込まれる予定だ。低迷している有給休暇の取得率を上げるため、企業に新たな義務を課すのだという。
現在のルールは、労働者が自ら休みたい日を指定して、休暇取得を請求する仕組みだ。企業には一定の条件を満たす労働者に有給休暇を与える義務があるが、労働者の請求がなければ休暇を与えなくても違法ではない。
これに対し、厚労省の労働政策審議会で1月16日に示された新ルールの骨子案によると、一定の日数について「有給休暇をいつにするか」を企業に指定させることにより、労働者に休暇を確実に取得させることを目指すのだという。
労働問題に詳しい弁護士の意見は?
この新しいルールが報道されると、ネットでは「子供の急な発熱時に取得出来なくなるの?」「今以上に会社都合が優先されそう」と否定的にとらえる意見もみられた。はたして、新ルールで労働者の待遇は改善するのか。労働問題に詳しい山田長正弁護士に聞いた。
「現在の労働基準法の枠組みでは、原則として、労働者が有給休暇をいつでも取得できます。使用者側(企業)が取得時季(時期)を変更できるのは、その有休取得が『事業の正常な運営を妨げる』ような場合に限定されています」
労働者の有給休暇の取得時期を、企業が指定することになれば、かえって労働者に不利になってしまうのではないか。有休取得を促進させたいのであれば、いつ取得するかは労働者の自由に任せたままで、企業に有休取得の促進を義務づける制度にすればよいのではないだろうか。