「正社員をなくしましょう」
慶應義塾大学教授で、人材派遣のパソナグループ取締役会長の竹中平蔵氏がTVの討論番組でこのように発言したことが、大きな反響を呼んでいます。
竹中氏の主張は、「日本の正社員は世界の中でも異常に保護されている」→「それが雇用の流動化を阻害している」→「だから、正社員をなくしましょう」――というもの。
討論番組のオンエア中から、暴言である、サラリーマンに対するアベ・ハラスメントである――といった批判的な意見がネット上では多く見られました。
こうした批判が上がる背景には、日本人の強い正社員志向が感じられます。そこで今回は、正社員と非正規社員の間にある「壁」の問題と、その壁の高さの変化などについて考えてみたいと思います(竹中発言についても言いたいことがありますが、それはまた別の機会に書きたいと思っています)。
「誰もが正社員になりたい」はやや乱暴
さて、正社員については、法律で明確にはされていません。が、一般的には、期間の定めのない雇用契約で働くこと。対する非正規社員は、契約社員やパートタイマー、アルバイト、派遣社員のように期間を定めた雇用契約で、正規社員と比べて自由度を持って働くことができるワークスタイルを指します。
問題は非正規社員と正社員に厳然たる「高い壁」があること。非正規社員はなかなか正社員にはなれない。非正規社員は正社員より収入が低い。ゆえに、格差が広がる――という論がよく見られます。
誰もが正社員になりたいのに、かなわない。あまりに不憫だ……というような記事も多くのメディアで展開されました。
しかし、ここで高い壁について考える前に、ひとつの疑問を投げかけさせてください。それは、本当に誰もが正社員になりたいと思っているのか?という点です。データをひとつ紹介します。
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