この見極め機会を使い、垣根を下げる方法はあるのでしょうか? 実は、以前から見極めに適した方法はありました。それが、
テンプ・トゥー・パーム (紹介予定派遣)
と呼ばれるワークスタイルの活用です。略するとTTP(当然ながら、環太平洋戦略的経済連携協定=TPPとは関係ありません)。
このTTPは、2000年12月の改正労働者派遣法により解禁されたもの。派遣スタッフとして一定期間(最大半年)の就業を行った後、就業先企業と就業スタッフの双方が合意する場合に、直接雇用の正社員(契約社員)として働くことができます。
正社員(契約社員)としての雇用を希望する派遣スタッフにとっては、就業を通じて社風、職場の雰囲気、実際の仕事を理解できるというメリットがあります。就業先企業にとっては、派遣スタッフの仕事に対する取り組み、人柄などを理解できるという利点があります。
雇用のミスマッチを解消する新たな雇用形態として、自分の適性を見極めでき、正社員へのキャリアチェンジを実現できる機会としてスタート。実際に紹介予定派遣を活用して働く人は徐々に増えています。
今こそ仕組みの活用を
ただ、TTPが壁を下げる役目を十分に果たしてしているか?と言えば、そこまでとは思えません。その理由は会社サイドの事情によるものであったようです。
人材ビジネス企業(派遣会社)にしてみれば、社員を派遣して継続的にビジネスしたいもの。採用コスト、育成コストをかけたのだから、できるだけ長く派遣先で勤務してほしいと考えるわけです。
ところがTTPすると、派遣していた社員との関係が「手切れ金(紹介手数料)」で切れてしまいます。当然ながら派遣先からの売り上げもゼロになります。そんな人材会社サイドの思惑もかかわり、TTPによる正社員化が加速しなかった部分も大きいのではないでしょうか。
結果として、非正規社員と正社員の壁を下げて、相互のワークスタイルを自由に行き来するつなぎ役としての機能は、限定的なものにすぎませんでした。
ただ、本来的にはTTPは非常に有効な仕組みであるのは間違いありません。企業側はこのTTPを果敢に活用できる状況をつくって、非正規社員から正社員への転換ができるチャンスを増やし、優秀な人材の確保につなげてほしいものです。
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