池上彰が解説、ジャーナリストが「戦場に行く」訳 日本と海外では彼らへの「向き合い方」が違う
後藤さんは宮城県仙台出身です。大学を出た後、物流会社に勤めるんですが、すぐに辞めて、さまざまな紛争地帯で被害を受けている子どもたちの様子を伝えたいとフリーのジャーナリストになりました。後藤さんは、本当に子どもが大好きなんですね。ご自身にも3人のお子さんがいるんですけど、子煩悩で、とくに悲惨な被災地に行くと、まず子どもたちに焦点をあてて様子を撮影していました。2006年には紛争地帯の子どもたちを取材した『ダイヤモンドより平和がほしい 子ども兵士・ムリアの告白』(汐文社)で第53回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞しています。
アフリカのリベリアというところはダイヤモンドの産地です。そこでダイヤモンドが採れる場所を政府系と反政府系、どちらがおさえるかということで、激しい内戦が続いていました。ダイヤモンドの産地を取ったほうが、そのダイヤモンドを海外に売ることができて莫大な資金を得られる。結果的にこのリベリアの子どもたちが、紛争に巻き込まれて悲惨な状態になっているということを、写真付きで本にしたということです。
「紛争ダイヤモンド」って言葉があります。これ、レオナルド・ディカプリオが主演で『ブラッド・ダイヤモンド』というアメリカ映画にもなっています。
ダイヤモンドによって戦争が起きるんだということで、ダイヤモンドの取引業界は必ず産地がはっきりしたものでないと販売ができない仕組みにしました。これによってリベリアでの内戦が収まっていくことになります。
「自己責任論」についてどう考えるべきか
後藤さんはアラブの春のあとのシリアへも行っています。シリアはバッシャール・ハーフィズ・アル=アサド政権と、反アサド政権の間で内戦状態になっていく。後藤さんは反政府勢力の側に取材に入るわけだよね。反政府勢力側にいると、アサド政権によって容赦ない空爆を受けたりする。それによって子どもたちや女性たちが犠牲になる。
彼はしばしばそこに入って自らカメラを回し、あるいは自分でリポートしながら、それを日本のテレビ局に伝える。シリア内戦のような状態になると、あまりに危険だからそれぞれの新聞社やテレビ局は社員を派遣することができず、フリーランスを使うんです。
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