「自責思考こそ常に最善」と思う人の大いなる盲点 行き過ぎた「自罰思考」で自らを追い詰めない為に

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では、「自責思考」が害になるのは、どんな時でしょうか。

それは「周りにいろいろ押し付けられている」「誰も助けてくれない」と感じるような時です。「あれも、これも、とにかく私が何とかするんだ」と考えすぎて、自分を押し潰す十字架を背負っているような状態と言えます。「自責思考」は、自分を追い込みすぎる思考の癖がつくリスクをはらんでいるのです。

この友人は「自責思考」が行き過ぎて「全部、俺のせいだ」としか考えられなくなってしまう「自罰思考」に陥っていました。

自分をどんどん追い込んで傷つけ続ける友人を助ける手段は、当時の私には思いつきませんでした。なぜなら、私自身も「自責思考はどんな時もいいものだ」と盲信していたからです。今なら「時と場合による」とはっきり言えます。

他人のせいにする「他責思考」を使いこなそう

転職や異動、独立で新しいスタートを切った人は「自責思考」に振り切れる傾向にあります。特に「責任感が強い」「期待に応え頑張る」と評価されてきた自覚があり「努力は良いこと」と、つねに思っているような人は要注意です。自分の状態を顧みずに「とにかく頑張る」しか選択肢がなくなることで「ここさえ乗り越えれば」が続き、いつの間にか自分のキャパシティをオーバーします。

こうなりやすい人のために、具体的な「他責思考」のやり方をお伝えしましょう。

「他責思考」とは、文字通り「他人のせいにする思考」です。何か起きた時に原因を自分ではなく他人や環境に求めます。仕事であれば上司や同僚、取引先や自社です。

こう申し上げると「他責はちょっと嫌だな」と思う人が多いのではないでしょうか。実際に会社でも「失敗したら自分に原因を求めて改善」を求められることがほとんどだと思います。学校でも家庭でも「他人のせいにしなさい」と教えられることは、まずありません。

つまり私たちは「自責思考」が染み付いているのです。「自責思考」が行き過ぎて「自罰思考」になるリスクを教えられないままに。

「他責思考」を使いこなしている人は、こう話してくれました。

「今の会社で15年になるけど、ずっと楽しく働き続けているよ」

「人間関係のストレスはしばらくないな」

自分の本音を差し置いて役割や期待を優先してきた人ほど、「他責思考」は自分を守ってくれる盾になります。

では具体的に「他責思考」とは、どんなものなのでしょうか。

次ページ「他責思考」は「心のゴミ箱」。見せる必要も評価されるいわれもない
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