「自責思考こそ常に最善」と思う人の大いなる盲点 行き過ぎた「自罰思考」で自らを追い詰めない為に

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本音ベースで「今は多少無理しても成長したい」「成果を上げるために踏ん張る時だ」と思っていたら、思いっきり「自責思考」を発揮するのがいいでしょう。その時には「周りに信頼できる、相談できる人がいるか」をチェックしましょう。その人が頑張りすぎを防ぐセーフティーネットになってくれます。

「他責思考」が大事な時は?

反対に「ちょっとしんどくなってきた」「信頼というより丸投げされている気がする」と思ったら、「他責思考」で自分を守る方法があります。

また「会社の生産性を高めるにはどうすればいいか」「これまでと違うビジネスを生み出そう」と考えた時にも「他責思考」は力を発揮します。「他責思考」は「働く時間を増やして何とかしよう」という危険な精神論から距離を置くものでもあります。仕組みや工夫を積み重ねる思考の、最初の一歩なのです。

ビジネスの現場や会社組織の中では、どうしても「自責思考」が優位に立ちます。採用面接や入社後の研修で「うちの会社は他責思考を大歓迎しています」とは言えません。「自責思考」をポジティブ感情、「他責思考」をネガティブ感情と置き換えても同じです。

なぜなら経営者や管理職は、社員のポテンシャルを引き出して会社を成長させる人材育成や制度改革などの「攻めの施策」を重視するからです。最近はメンタルヘルスの研修や働き方の改善などの「守りの施策」を取り入れる企業も増えていますが、まだまだ少数派。どちらも業績を伸ばす重要な施策ですが、「攻めの施策」のほうが早く効果を上げやすいからです。「自責思考」やポジティブ感情を、つねに重視している理由はここにあります。

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これはこれで理解できますが、責任感の強い人や限界を超えて努力し続ける人がつらくなってきた時に問題が生じやすいのも事実です。

自分の思考や感情を操って、自分を守り成長させられるのは自分だけ。「自責思考(ポジティブ感情)」だけでなく「他責思考(ネガティブ感情)」の使い時と使い方を覚えておきましょう。

攻めのキャリア論はあふれていますが、守りのキャリア論は人知れず使われます。知られざる守りのキャリア論の要こそが「他責思考」です。その時の自分の状態に合わせて、両者を振り子のように行ったり来たりしながら、成長と自衛を両立させるのです。

佐野 創太 「退職学 ®」研究家

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さの そうた / Souta Sano

1988 年、静岡県浜松市生まれ、神奈川県横浜市育ち。慶應義塾大学法学部政治学科卒。 経営者の父と人事担当の母から、退職トラブルなどの人の悩みを聞きながら育つ。2012年、大手転職支援会社に新卒で入社。シンクタンクに転職するも1カ月で早期退職し、無職に。新卒で入社した企業に契約社員として出戻り、新規事業責任者として求人サイトを立ち上げ。介護離職を機に 2017 年「退職学 ®」の研究家として独立。これまでに1000名以上の働き方相談を実施し「退職後も声をかけられる人」を育てる。退職者の本音に触れる立場から、退職者をファンにする「リザイン・マネジメント」を提供。妻と子どもの3人暮らし。(Twitter:@ taishokugaku)

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