「レシピ本」に頼るとフードロスが出てしまう訳 「単純すぎる料理」ばかりにしたら起こった変化

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で、ここまで読んでいただいた方はきっと、これは冷蔵庫をやめた人間の特殊ケースであり、冷蔵庫のある普通の人たちは、何もこんなワンパターンすぎる食生活をせずとも、つまりはレシピ本を見てあれこれ料理したところで、余った食材は冷蔵庫に保存しておけば良いのだから、別にレシピ本がフードロスを生んでいるっていうわけじゃないのでは? と思われたのではないだろうか。

いや私もね、ちょっと前まではまったくもってそう思っていた。

でも最近、いやいや冷蔵庫があろうがなかろうが、レシピ本に頼っている限りフードロスは無くならないんじゃないかと思うようになったのである。

だってですよ、冷蔵庫は確かに、食材の寿命をある程度引き延ばすことができる。でもそれはあくまで「ある程度」であって、永遠に引き延ばすことができるわけじゃない。つまりは、いつかは腐らせるのだ。

で、先ほど書いたように、レシピ本に頼って料理していると、結局は「足りない食材」を永久に買い足していくことになる。するとどううまくやろうとしたって結局は使い切れない食材がどんどん溜まってしまうのである。となれば、結局は腐らせて捨てることなる。それがフードロスである。冷蔵庫があろうがなかろうがまったく同じことだ。

あるものでなんとかするのが料理

結局ね、こういうことなんじゃないだろうか?

レシピ本を見て料理すると、どうしても、ずらずらと並んだ「材料」の項目に「ない」ものをまずは手に入れなきゃならんということになる。「ないものを買う」。そこから料理がスタートするのだ。

でも、今の私はどうしているかというと、「あるものを食べきる」ためにどうにかするのが、私にとっての料理なのである。キャベツがまだ残っている。どうするか。汁にするか、漬けるか、それでも追いつかなければ生で食べるか……などと考えるわけですね。それで自動的に献立が決まる。足りないものを買ってくるなどという発想はどこにも入る余地がない。

次ページ「ないもの」を買わなくても…
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